ソフトバンクグループのPSソリューションズ株式会社と、伊藤忠飼料株式会社、自動機械装置のCKD株式会社の3社は、畜産向けIoTシステムを共同開発する。
まずは、農業向けIoTソリューション「e-kakashi」の技術をベースにした養鶏IoT(スマート養鶏)サービスを開発し、2018年秋から提供を開始する。
■概要
養鶏IoT(スマート養鶏)サービスは、「開放鶏舎(*)」と呼ばれる形態の鶏舎に対し、各種IoT機器を取り付けるだけで鶏舎内の環境情報を管理し、作業を自動化するものです。
鶏舎内の温湿度管理と空調制御、将来的には水やガスなどの流体制御を遠隔地から行えるようにすることで、養鶏農家の管理作業の省力化や労働生産性向上に寄与します。
さらに、従来は経験と勘に頼っていた温湿度・空調管理を飼養成績と連動して記録し、それをAI(人工知能)で分析することで、養鶏農家の知見や飼養技術を見える化して知識体系を整理(養鶏eマニュアル化)します。
PSソリューションズとCKDは、IoTセンサーによるビニールハウスなどの園芸施設の温湿度の把握、カーテン制御や水田・畑・温室での灌水(水やり)を遠隔制御・自動化する機能を実装した「e-kakashi」第2世代サービスを、2017年10月に発表しています。
今回発表するシステムは、これらの要素技術を養鶏分野に応用したもので、現在、伊藤忠飼料研究所(栃木県那須塩原市)にて実証実験を行っています。
*自然換気で管理が可能な鶏舎。
■特長
(1)IoTセンサーによる鶏舎内環境の見える化
「e-kakashi」において高い耐久性と安定稼動の実績のあるIoTセンサーを鶏舎内に設置し、温度・湿度・二酸化炭素・酸素・アンモニアなどのデータをクラウドサーバーへ24時間365日送信することで鶏舎内環境を記録します。これらのデータはスマートフォンやタブレットなどのモバイル機器から閲覧することができます。
また、鶏舎内環境に急激な変化があった場合には、メールや管理画面でアラートします。
(2)IoTモーターによる鶏舎カーテンの遠隔開閉
空調を管理するカーテンに設置されている手動巻き上げ機をIoTモーターに交換するだけで、モバイル機器から遠隔操作で開閉が可能となります。
また、大規模な工事や初期投資費用が不要で、すぐに導入できます。将来的にはIoTセンサーと連動し、自動開閉を実現します。
(3)モバイル飼養管理日誌
体重や、へい死数などをモバイル機器から入力でき、飼養成績と作業者の行動履歴、鶏舎内環境データの一元管理が可能です。
蓄積したデータをAIで分析し、これまでは経験則を基にしていた飼養管理に関する養鶏農家の知見や飼養技術、ノウハウを見える化します。
■価格(税別)
IoTセンサー・・・一括購入方式:測定項目により数千円~数万円/台
IoTモーター・・・月額利用料金:1万8,000円/1棟2機、初期費用無し
※システム利用料として、別途月額8,000円/1契約がかかります。
※現段階での予定価格で、今後変わる可能性があります。
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