一般社団法人イノプレックスでは、2013年から毎年開催されている台湾の植物工場展示会(Photonics Festival in Taiwan)に参加・出展企業や関係者への継続的な取材を実施した。
完全人工光型植物工場の稼働施設数では世界で2番目に多いとされる台湾市場。大きな市場拡大が見込まれる中国市場に対しても、言語や文化・商習慣の壁がない台湾企業が進出拡大を進めている。
本調査では『人工光型』のみを対象とした市場規模・施設数の現状と今後の予測、代表的な参入事例(合計24社)、各社における植物工場野菜の商品分析・価格調査を実施した。
台湾・植物工場の市場規模と参入事例調査2015
【調査概要】
■ 調査期間:2013年6月~2015年6月
■ 調査対象:完全人工光型植物工場のみ
■ 調査方法:各企業・専門家への直接ヒアリング調査が中心
【完全人工光型植物工場】
植物工場とは、高度な環境制御(温度・湿度、CO2濃度、光量、肥料など)を行うことにより、野菜等の周年・計画生産が可能な施設園芸農業の一形態のこと。温室等で太陽光の利用を基本とし、人工光による補光や夏季の高温抑制技術等を用いて栽培する (1) 太陽光利用型、閉鎖環境で太陽光を用いずに栽培する (2) 完全人工光型の2つのタイプがあるが、本調査では (2) 完全人工光型(人工光型)のみを対象としている。
● 台湾では植物工場ブーム・国内に60ヶ所以上の施設が稼働
世界のLEDメーカーが集中する台湾。液晶TVにおけるLEDバックライト、一般照明用途に続き、台湾のLEDメーカーは今後の成長分野として完全人工光型植物工場に期待を寄せている。
台湾国内の人工光型・植物工場稼働数は約60ヶ所となっており、植物育成用ライトなど関連部品も含めると植物工場メーカーは100社以上が進出している。
● 植物工場設備プラント市場は2015年で29.4億円、2025年で100億円にまで拡大
設備プラント市場(累計)が2015年で29.4億円となり、2020年で63.2億円、2025年で100億円にまで拡大すると予測される。
日本のように補助金にて大規模施設の建設事例がないことから大型施設の施設稼働数も数件にとどまり、2025年においても1日1万株以上の植物工場は5件にも満たないことが予想される。
● 植物工場野菜の産出額は2015年で15億円、2025年で64.4億円にまで拡大
2015年における産出額が15億円、2020年が39.7億円、2025年が64.4億円となっている。
● 1日100株以下のリーフレタスを生産する植物工場が施設全体の50%以上
国内60ヶ所以上の施設のうち、大学・公的機関の研究施設や民間企業による試験栽培・デモプラントが多いため、1日100株以下のリーフレタスを生産する植物工場が施設全体の50%以上を占めており、300株/day以下まで対象を広げると全体の86%を占めている。
2025年においても100株/day以下の施設が全体の45%と大きな割合を占めていることが予想される。台湾の人口規模(2,337万人, 2013年)を考えると、国内市場は限定的であり、日本のように急速な施設数の拡大は見込めないだろう。
・台湾・植物工場ビジネスマッチング視察ツアーの開催
・台湾・植物工場マッチング視察ツアーの報告/約20年の老舗メーカーから最安値での野菜販売を目指す企業まで