農業分野におけるICTやテクノロジーの導入が遅れているネパールにおいても、垂直式(タワー型)の水耕栽培や完全人工光型植物工場による苗生産などを行うベンチャー企業が出現しつつある。
約2年前から試験栽培を行っている、エアロルーツ社では、自社開発した栽培システムの販売を本格化させた。
同社では、ネパールの首都カトマンズにある屋上スペースを活用した水耕農場をオープンさせている。自社農場は、野菜の生産・販売だけでなく、ショールーム・研究用施設でもある。
現在は、ほうれん草やチンゲン菜、トマトやハーブ類など、多くの種類を試験栽培している。
同社が提案する水耕システムは、生産効率を高めるために垂直式(タワー型)となっており、根に養液をスプレーノズルで噴霧する「エアロポニクス」を採用した。
本技術は、NASAが長年にわたって研究を行い、米国では多くの植物工場・水耕栽培施設が採用しているものだ。
養液が貯められた栽培プール内にて、根が常に液中に沈んでいる方式(NFTやDFTと呼ばれるもの)より、噴霧式は、根への酸素の供給がスムーズに行われ、成長が早い、と一般的にはいわれている。
1つの栽培システムの費用は約75,000円。システムを納品したクライアントに対しては、自社の簡易的な完全人工光型植物工場にて生育した野菜苗の提供も行っている。
まだまだネパールでは、無農薬で、安全・安心な野菜を購入できる消費者が限られており、生産者においてもテクノロジーの導入が遅れているのが現状だ。政府関係者は、今回のベンチャー企業であるエアロルーツ社の水耕システムに期待を寄せている。
ネパール農業省やネパールの農業研究協議会(Nepal Agricultural Research Council:NARC)は、既に同社を支援しており、農家とのマッチング機会や約170万円の補助金も提供している、という。
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