果樹園における害虫モニタリングに関するシステム開発ベンチャーのオーストラリア・RapidAIMでは、Main Sequence Venturesより約1.4億円(125万ドル)の資金調達を実施した。
同社は、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究開発シーズから、社内のCSIRO Innovation Fundの支援を受け、スピンアウトした技術系ベンチャーである。
果樹園に設置する害虫モニタリング装置とリアルタイムでの害虫・位置情報ソフトフェアの開発を行っている。
柑橘類の生産が盛んなオーストラリアの農場では、温湿度や日照・雨量といった天候情報を常にモニタリングする装置は導入されているものの、害虫レーダーのようなものは導入されていないのが現状である。
農場現場で行われているものは、フェロモンやエサなどで捕虫し、目視で確認する程度であり、細かいエリア別・種類別の害虫情報をリアルタイムに取得することができなった。
また、オス・メスや害虫の種類によって、誘因されない場合もあり、正確に捕虫できない、といった課題もある。
同社が開発した装置は、省電力タイプのスマートセンサーを利用することで、それぞれの害虫が飛ぶ際の特徴的な動きを基に識別する仕組みを採用。巨大な農場では、数百~数千単位で設置し、データ情報をクラウドに送信。
モバイルアプリにて、自社農場や周辺エリアに関する害虫情報がマップ化され、リアルタイムに閲覧することができる。
同社の果樹用スマート捕虫器は、従来における手動での捕虫器作業より、35%程度の時間短縮にもつながる、といった直接的なメリットもある。
また、どのエリアに、どういった害虫が飛んでいるのか、リアルタイムで識別できることで、早期発見し、大きな拡大被害を防ぐことが可能である。
オーストアリアにおける園芸作物に関する害虫対策市場は年間3億ドル(約337億円)と推計されており、オーストラリア国内の他、世界市場をターゲットに事業拡大を目指している。
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