香港のTuen MunにあるYKKビルディングの屋上(約836平方メートル)では、野菜の収穫が今後、ピークをむかえる。
ビル管理会社が2018年9月よりスタートした屋上ファームでは、入居企業のオフィス・ワーカーと、ファーム管理者が一緒に農作業を共有することもでき、新鮮野菜を収穫・提供することもできる。
今回の目的としては、殺風景なオフィス空間に緑を入れ、植物に触れることで精神的な緩和になれば、と考えて導入した。また、入居企業から廃棄されるゴミは、月に10トン以上になっており、環境への意識改革につながれば、とも考えている。
ファーム管理者によると、最近では、お昼休憩に、植物に触れ・水やりをしたり、屋上でのんびり過ごすような人が増えてきた、という。
なお、リサイクルされた容器に土を入れ、シンプルな栽培方式を採用しており、屋上ファームの設置費用は、約570万円前後。月の運営コストは、約57,000円程度となっている。
今回の屋上ファーム稼働にも、香港のベンチャー企業Rooftop Republic社(関連記事:香港の高層タワー39階にある屋上ファームが収穫ピークへ。都市住民の行動にも変化が)が支援している。
同社では、屋上ファームの設備施工や管理運営、人材育成などのワークショップなども開催しており、不動産関連だけでなく、食品・飲料製造企業や学校などからも依頼を受け、香港の屋上スペースに多数の菜園を開設している。
また、大手企業の社員も屋上ファームの管理やイベントに対して、ボランティア参加することも多く、例えば、スターバックスや航空会社のキャセイパシフィック等も含まれている。
香港大学にて景観設計を行うMathew Pryor氏によると、香港では現在、屋上ファームの開設が増えており、60農場以上が稼働しており、約1,500名が関わっている、という。
人口密度の高い香港において、最後のフロンティアといわれているのが屋上スペースであり、同氏が2016年に調査した結果によると、香港では最大600ヘクタール近くの屋上にて、農業を行うことができる、と推計している。
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