リアルテックHD「SPACE FOODSPHERE」発足。宇宙での完全自動化 植物工場の開発も

リアルテックホールディングス株式会社と、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)の一環として、宇宙食料マーケット創出プログラム「Space Food X」を約50の参画メンバーと共に取り組んできたが、今後は「SPACE FOODSPHERE(スペースフードスフィア)」プログラムとして活動を拡大させる。

リアルテックHD「SPACE FOODSPHERE」発足。宇宙での完全自動化 植物工場の開発も
また、「Space Food X」の主要メンバーが発足メンバーとなり、本プログラムにおいて産学官の有機的な連携を促進する一般社団法人SPACE FOODSPHEREを設立した。


▼ SPACE FOODSPHERE ウェブサイト
https://spacefoodsphere.jp


「Space Food X」の検討成果と今後の「SPACE FOODSPHERE」の取り組み
(1)地球と宇宙の共通課題を解決する食の未来構想

月面や火星などの宇宙における長期的な暮らしを想定した場合、限られた資源の中で生活をする必要があり、食料や資源、最前線に立つ人材の確保などが困難です。

また、宇宙における基地内の閉鎖隔離空間は心身の健康問題やコミュニティの重大な課題が生じやすい環境にあります。

一方、地球上では人口増加や資源の濫用によって、食料危機や資源の枯渇、生物多様性の低下が深刻化しています。

災害やパンデミック時の閉鎖隔離環境における心身の健康問題やコミュニティの課題なども大きな問題となっています。このように地球と宇宙では「食料不足」「資源不足」「生物多様性」「閉鎖隔離環境のQOL」「人材不足」という「食」に関連した重大な共通課題が存在しています。

図2. 地球と宇宙の食の共通課題
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「SPACE FOODSPHERE」プログラムでは、「Space Food X」で整理した地球と宇宙における「食」の共通課題の解決に向けて「完全資源循環型かつ超高効率な食料供給システム」と「閉鎖空間のQOLを飛躍的に高める食のソリューション」という2大テーマのソリューションを創出し、地球と宇宙双方での社会実装を推進します。

これらのソリューションを社会実装し実現を目指す超長期シナリオとして、2030年にはSDGsの食の課題解決に貢献、2040年には月面1000人の長期滞在の実現に貢献し、超長期的には惑星移住と地球環境の劇的回復を目指します。

このような「食」の課題解決による未来構想の実現を通じて、困難な課題に取り組む姿勢を次世代に受け継いでいくことで、真にサステナブルでWell-beingな人類の未来社会の構築に貢献してまいります。


(2)月面基地コンセプト1.0と食のソリューション
「Space Food X」では、超長期シナリオにおける当面の目標として設定した2040年代の月面1000人の長期滞在に向けて、課題と解決策の解像度を上げるために、月面基地のコンセプトを設計すると共に、究極の食のソリューションの一端を可視化しました。

今後は、「SPACE FOODSPHERE」プログラムにて国内外のパートナーと共に、本コンセプトやソリューションの解像度を上げ、実現可能性を高めてまいります。

図5. 究極の食のソリューション例
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(3)共創基盤としての4つのスフィア構想
上記を例とした究極の食のソリューションを創出し社会実装に導くため、「Space Food X」では共創型の研究開発基盤や実証基盤が必要であるという結論に至りました。

そこで「SPACE FOODSPHERE」プログラムでは、共創型の研究開発基盤や実証基盤として4つのスフィア構想の検討を進めることとなりました。

食料生産や資源再生等の要素技術の高度化と統合/全体最適化、閉鎖環境における人の心身やコミュニティの課題抽出と解決策の構築等を目的とした閉鎖型の研究所(バイオスフィア等)や、それらを社会実装するための実証フィールド等について、さらなる検討を進めてまいります。


3.活動の発展・拡大のための新たな推進体制
一般社団法人化による多種多様なプロフェッショナルとの有機的な連携の加速

本取り組みはこれまで任意団体として活動してきたところ、更なる活動の発展に資するため、この度「Space Food X」の主要メンバーが発足メンバーとなり一般社団法人化することとなりました。

一般社団法人SPACE FOODSPHERE (別紙) では、食料生産、資源再生、自動化・遠隔化、生態系、食品加工、調理、空間、極地生活、ビジネス、マーケティング、ファイナンス、人材育成など、様々な分野で活躍する多種多様なプロフェッショナルが一堂に集結することで、より具体的な研究開発・実証・社会実装に向けて産学官の有機的なコラボレーションを促進していきます。
そのため、今後も参画メンバーを国内外から募り、活動を拡大してまいります。

図7. SPACE FOODPSPHERE 発足メンバー
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