都市部の食料問題と食育を解決。米国NYなど都市部で拡大するアクアポニクス・地産地消モデル

米国・地産地消の市場規模は120億ドル

 米国における地産地消ビジネスの市場規模は2008年の50億ドルから2014年には120億ドルまで拡大しており、今後も成長市場の一つとして都市部を中心に多くの生産事例や政府による支援が行われている。

ただし、都市部にて行われている栽培方法は露地栽培が中心であり、都市人口が急増している現在では、既存の栽培方法では対応が難しくなっているのも事実である。

米国における120億ドル市場の地産地消ビジネス。政府による資金の貸し付けプログラムが開始
ハリウッドの地産地消レストラン、タワー型水耕システムによる自社生産へ

例えば、ニューヨーク州の飢餓状況を調査したFAOでは、2008年のリーマン危機に並ぶほど、2015年の都市部における飢餓人口が増加していることを発表しており、今後も所得格差が拡大し、貧困に苦しむ都市人口が増えることが予想される。

ニューヨークには、600を超えるコミュニティーガーデンをはじめ、商業施設・ホテルや学校などの様々なスペースにて、小規模だが農場が点在しているが、生産性の問題から地元産の野菜・果物の値段は非常に高く、購入できる消費者は、ごく一部に限られている。

そこで注目されているのが「アクアポニクス」である。

魚と野菜の融合システム・アクアポニクスとは

 魚の養殖「アクアカルチャー Aquaculture」と水耕栽培「ハイドロポニクス Hydroponics」を融合させたもの。つまり魚の養殖と野菜の水耕栽培を一体化させたシステムのことである。

魚の養殖と野菜の水耕栽培を融合したアクアポニクスについて

 アクアポニクスの場合、野菜の水耕栽培のみと比較すると養液環境のコントロールが難しく、屋外環境によっては生産が不安定になるようなデメリットはあるものの、環境にも優しく、かつ露地栽培より飛躍的に収量を向上させることができる。

都市部の食料問題と食育を解決。米国NYなど都市部で拡大するアクアポニクス・地産地消モデル