アクアポニクスとは、魚の養殖「アクアカルチャー(Aquaculture)」と水耕栽培「ハイドロポニクス(Hydroponics)」を融合させたもの。つまり魚の養殖と野菜の水耕栽培を一体化させたシステムのことである。
日本では建設事例が少ないアクアポニクスだが、欧米では遮光ネットのみを設置し、屋外による大規模施設、温室ハウス内での中規模施設、完全人工光型植物工場に近い閉鎖空間内にて野菜の水耕栽培と同時に、別ルームや地下空間に魚を養殖するタンクを設置するなど、設置場所に応じて様々なタイプのアクアポニクス施設が稼働している。
その他、ICT技術を活用した家庭用向けの小型アクアポニクス・キットの開発・販売に乗り出すベンチャー企業も増えている(写真は温室ハウス内にて栽培するアクアポニクス施設)。
アクアポニクスについて
- 基本は上部に野菜の水耕栽培、下部にて魚を養殖することが一般的。太陽光の場合もあれば、人工光で栽培する方式もある
- 魚に対してエサを与えると、アンモニアが豊富な排泄物が出る。こうしたアンモニアはバクテリアによって硝酸塩や亜硝酸塩に分解される
- 水耕栽培の中に硝酸塩は栄養素として植物に取り込まれて生長する。植物の根がフィルターの役割を果たし、きれいな水に戻り、下部の魚の養殖ベッドに再循環される。
- 植物の生長に必要な微量元素が不足する際には外から追加する場合もある
- 葉野菜であれば基本的には何でも水耕栽培が可能であり、一部では果菜類を生産する例もある。また、養殖できる魚は環境変化に強いティラビアなどの食用・淡水魚などが代表的である