フランス都市部の有機廃棄物をリサイクル、環境に優しいキノコ栽培ベンチャーが本格展開

 都市部の有機廃棄物をリサイクルしながら、環境に優しいキノコ栽培に取り組むフランスのベンチャー「La Boite à Champignons」が、一般消費者向けに大規模なプロモーションを開始した。

その他、フランスのパリでは、植物工場などの最新技術を導入しながら都市型農業に取り組む事例が増えている。

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フランス都市部の有機廃棄物をリサイクル、環境に優しいキノコ栽培ベンチャーが本格展開
使用済みコーヒーを再利用し、キノコ培地に活用したもの。家庭用の栽培キット商品も販売をスタートさせた。
フランス都市部の有機廃棄物をリサイクル、環境に優しいキノコ栽培ベンチャーが本格展開

同社の生産拠点は、フランス・パリ郊外にある「サン=ノム=ラ=ブルテッシュ」となる。複数のキノコを栽培しているが、主商品は、オイスター・マッシュルーム(ヒラタケ)となっており、キノコを栽培する培地には、パリ周辺にて回収した使用済みのコーヒーを再利用している。

回収されたコーヒーのカスに、木材チップなどを混ぜて成形し、天井から吊るしながら栽培する。最初のステップでは、高湿度を維持した真っ暗な場所にて2週間、キノコ培地を育成。

こうして約2週間、育成された培地の中には、キノコが伸びる元となる菌糸体が形成される。

次に別の生産ルームに移動させるが、ここでは照明を点灯、湿度を下げて、キノコにストレスを与えることで、普段、食べているキノコの部分が成長する、という。

フランス都市部の有機廃棄物をリサイクル、環境に優しいキノコ栽培ベンチャーが本格展開
フランス都市部の有機廃棄物をリサイクル、環境に優しいキノコ栽培ベンチャーが本格展開
栽培ルームでは、野菜の植物工場のように、温湿度などの最適環境をコントールしている。

20トンで2キロのキノコを収穫。今後は全ての食品廃棄物をリサイクルへ

パリではコーヒー文化が浸透しており、大量の使用済みコーヒーが発生する。パリの飲食店では、1店舗にて週に20~30kg程度の使用済みコーヒーが発生することも珍しくない。

こうした食品リサイクルを通じて、環境に優しいキノコを、レストランにて美味しく提供することで、集客やブランド・イメージ強化につなげようとする飲食店も増えている、という。

同社では現在、パリ市内(周辺エリアも含む)にて、月に約20トンを回収し、そこから約2トンのキノコを収穫。同社のキノコ商品は、1キロあたり約15ユーロ(約1,900円)にて取引されている。


パリ市では年間で約60万トン(1日1,600トン以上)の使用済みコーヒーが廃棄されている。また、都市ゴミの30%は、生物系廃棄物であるため有効活用が可能であるが、現状では有機系ゴミの5%しかリサイクルされていない、という[同社による推計]。

フランス都市部の有機廃棄物をリサイクル、環境に優しいキノコ栽培ベンチャーが本格展開
そこで、同社では、業務用コンポスト設備を導入し、都市ゴミ問題の解決に取り組み始めた。

今後は、使用済みコーヒーだけでなく、野菜くず・食品廃棄物のようなレストランから排出される有機系ゴミを、コンポストにてリサイクルすることで、キノコ用の培地や、その他の都市農場でも活用していく、という。