過去にも国内の飲食店向けの小型プラント、冷蔵庫に植物工場が内蔵されたアイデアなどをご紹介したが、今回はキッチン植物工場の販売情報である。今回の新商品を販売するのは、カナダのバンクーバーで成功している水耕装置販売企業の一つであるBC Northern Lights社。富裕層をターゲットに新鮮なハーブやベビーリーフが栽培できるキッチン植物工場装置の販売という、従来のターゲットとは異なる人々へのビジネスに乗り出した。
BC Northern Lights社は10年以上に渡り、主に大麻(主に医療用目的だが、購入者によっては非合法な栽培も含む)栽培のための水耕装置8000台以上を売り上げてきた成功企業の一つである。メンバーの経歴やバックグラウンドも様々で、今までは大麻生産装置という負のイメージがつきまとうビジネスであったが、今回はよりクリーンな分野であり、親・子供、家族が喜んで購入するハイテクなキッチン植物工場の開発を目指した。
今回の新装置販売をキッカケに、再ブランディングをはかり、今までの大麻生産装置の販売は巨大市場である医療大麻市場にターゲットを絞りながら、「非合法」なマイナスイメージから脱却をはかろう、という転換点に立っている所である。
※ 医療大麻用・植物工場ビジネスについては先日、発行した調査レポートに詳細が記載されております。
今回のキッチン植物工場は、基本的には自動制御されており、経験のない人でも誰でも栽培できるようなシステムとなっている。栽培品種はバジルやパセリ、マジョラム、チャイブ、ベビーリーフなどが栽培可能。標準サイズでは、高さ2m、横1.2mくらいのミニ冷蔵庫サイズであり、ホテルにあるドリンクのための冷蔵庫(ミニバー)をイメージして開発されている。よって販売ターゲットとしては、家庭向け・富裕層以外にも、B to Bでは高級レストランやホテルを想定しており現在、連携を図っている所である。(例えば、Pear Treeレストラン、Four Seasonsリゾートホテルなど)
同社によると、家庭で栽培する際にも、種付け・定植作業や養液の注入、その他のメンテナンスも含め1週間に15分くらいの作業時間で十分である、と説明している。サイズや機能・デザインによっても価格が異なるが、商業用(ホテルやレストランなど)となると6000ドルと高額だが、家庭用の装置であれば2000ドルくらいの販売価格を想定している、という。
また今回のキッチン植物工場の導入メリットとして、無農薬な新鮮ハーブ野菜を手軽に栽培でき、健康になるだけでなく、経済的なメリット(投資リターン)もあり、ハーブやベビーリーフといった販売価格の高い野菜を栽培することで、年間に1000ドル以上の食材費を節約できる。家庭用であれば約2年、少しサイズが大きく・栽培品種も豊富な商業用であれば約1年でも十分、初期投資を回収できるくらいのリターンがある、と同社は主張している。今後の動向に要注目である。
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