岡山大学、玉ねぎに含有する「ケルセチン」配糖体の腸内細菌代謝物の肝細胞保護効果とその分子機構を解明

岡山大学・学術研究院環境生命科学学域(農)の中村宜督教授らの研究グループは、培養肝細胞モデルを用いて、玉ねぎなどに多く含まれるポリフェノール(ケルセチン配糖体)の腸内細菌代謝物のひとつである3-ヒドロキシフェニル酢酸(OPAC)が、エタノール代謝で生成する毒性物質アセトアルデヒドから細胞を保護することを明らかにした。

さらに、OPACは多くのポリフェノールとは異なり、抗酸化作用を介さないユニークな経路を介して、アセトアルデヒドの解毒を亢進することも見出し、細胞保護の分子メカニズムの一部を解明しました。

本研究で明らかとなった食品成分代謝物の新たな機能性とその分子機構に関する研究成果は、ポリフェノールの健康増進作用に関して新たな科学的根拠を提供するものであり、食品の機能性や安全性の科学的理解に大きく貢献することが期待されます。

岡山大学、玉ねぎに含有する「ケルセチン」配糖体の腸内細菌代謝物の肝細胞保護効果とその分子機構を解明
さらに、本研究でユニークな機能が明らかになったOPACは、安定で代謝されにくく、末梢に循環したり、多くの臓器に分布したりすることが期待されるため、アルコール毒性に対する細胞保護作用に基づいた新たな機能性食品・サプリメントの開発につながるものと期待されます。


論文情報
 論 文 名: A Major Intestinal Catabolite of Quercetin Glycosides, 3-Hydroxyphenylacetic Acid, Protects the Hepatocytes from the Acetaldehyde-Induced Cytotoxicity through the Enhancement of the Total Aldehyde Dehydrogenase Activity.

 邦 題 名:「ケルセチン配糖体の主要な腸内異化物である3-ヒドロキシフェニル酢酸は総アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の増強を介して、アセトアルデヒド誘導細胞毒性から肝細胞を保護する」

 掲 載 誌:International Journal of Molecular Science

 著  者:Yujia Liu, Takumi Myojin, Kexin Li, Ayuki Kurita, Masayuki Seto, Ayano Motoyama, Xiaoyang Liu, Ayano Satoh, Shintaro Munemasa, Yoshiyuki Murata, Toshiyuki Nakamura and Yoshimasa Nakamura

 D O I: 10.3390/ijms23031762

 U R L: https://doi.org/10.3390/ijms23031762


詳しいプレスリリースについて
玉ねぎに含まれるケルセチン配糖体の腸内細菌代謝物の肝細胞保護効果とその分子機構を解明
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r3/press20220217-7.pdf