米国サブラSabra、フードデザート改善のためVA州にて都市型農場を開設

 米国のSabra社(Sabra Dipping Company)は、バージニア州立大学と連携しながら、サマーシート都市型農業プロジェクトを開始した。約9,000m2の大きな土地を農場として活用し、都市部にて食・農業のハブ化を進める。

Sabra社は、サブラ(Sabra)ブランドの「フムス(中東の伝統料理)」商品を販売している企業である。同社の商品は、米国内にて最も多く販売されているブランドの一つである。

フムスとは、中東地域にて食べられている、ひよこ豆に、ニンニクや練りゴマなどで味付けされたペースト状のもの。

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同社の商品に使用する、ひよこ豆は米国・太平洋岸の北西部エリアの家族経営型の生産者を中心に、国内で生産された原材料を使用している。

販売しているものは、各種、味の異なるフムス商品だけでなく、ベジタリアン、グルテンフリー、ユダヤ教徒が食べてもよいとされる「清浄な食品」コーシャなど、食の幅広いニーズに対応した商品を販売している。

米国2,300万人のフード・デザート(食の砂漠)住民を改善

 Sabra社では、2016年から食育(教育)や新鮮な農産品を供給することで、フード・デザート(食の砂漠)を改善するプロジェクトを開始している。

今回のサマーシート都市型農業プロジェクトでは、米国農務省USDA、州、地方政府の協力を得て、バージニア州立大学などが中心となって進める都市型農場の開設・整備、維持管理について、Sabra社が資金的に支援している。

地元コミュニティーの中心地として、周辺の学校とも連携しながら農場を管理。同時に食育・教育現場としても活用する。

コミュニティーファームには、年齢・宗教・民族を超えて誰でも参加することができ、新鮮な野菜・果物を平等に確保できることをミッションとしている。

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都市部のコミュニティーファームとして、新鮮な農作物を生産するだけでなく、教育としての機能も果たしている。都市型農業の専門家を育成するため、プログラム・コースを用意しており、受講する生徒に対しては、Sabraが学費の支援も行う。

Sabra社では、食だけでなく環境面でも力を入れており、バージニア州のチェスターフィールド郡にある工場では最新のグリーン技術を導入し、環境負荷を大幅に削減することで、米国のグリーンビルディング協会からLEEDゴールド認証も取得している。

[LEED取得事例]
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フード・デザート(食の砂漠)の定義とは?

フード・デザート(食の砂漠)について、米国農務省USDAでは、居住エリアの周辺や近郊の町の中で、新鮮で健康的な食事を、適正な価格で確保できない地域、としている。

食事の中でも特に、生鮮野菜・果物が、高い費用を支払わずに誰でも購入できない場合をフード・デザート(食の砂漠)と示すことも多く、米国内では、こうしたエリアに住む人々が2,300万人いる、と推計されている。

例えば、バージニア州でも、少なくとも人口の17%が、フード・デザート(食の砂漠化)か、それに準ずるエリア(新鮮な食事の確保が制限されている)に住んでいる、と推計されており、バージニア州でも近年、関連団体への支援を強化している、という。