独自の温度管理技術による水耕システムの海外輸出強化。農業育成を進める中東をはじめ、新興国に売り込む<リサイクルワン>

環境ベンチャーのリサイクルワンと機械メーカーで水耕システムの開発を行う颯爽工業は共同で、2012年にも通常のビニールハウスに比べ最大8割省エネ化ができる野菜向け水耕栽培プラントの輸出を始める。独自の配管で野菜の根の周辺を効率的に冷やしたり暖めたりすることで、大規模な空調設備は不要になる。農業育成を進める中東をはじめ、新興国に売り込む。
 
 
海外の小水力発電所開発などで実績を持つリサイクルワンが輸出に向けたマーケティングや営業を担う。12年度以降、海外で年数件の受注を目指す。プラントは直径約5センチメートルのアルミ製配管と肥料成分を含んだ溶液を満たした水槽、給水用ポンプなどで構成する。配管は2層構造で、管内を直径約1センチメートルの細い配管が通っている。外側の配管内にセ氏16度程度で蒸発するエタノールの一種が充てんされており、この配管を水槽に沈め水槽の上に野菜を植えたトレーを載せる。野菜の根の部分が水槽につかる構造だ
 

<颯爽工業HPより,中東施工事例写真より>

 
夏季には内側の細い配管内に冷水を注入すれば、冷やされたエタノールが水槽中の溶液から熱を吸収して根の周辺を冷やす。冬には内側の配管内に温水を注入する。温められたエタノールが蒸発する際の熱が水槽中に放出され根の周辺を暖める。これにより1年を通じて根の周辺の温度を生育に適したセ氏22度前後に保てる。国内では既に導入実績もある。
 
 
省エネ型の野菜栽培技術への関心が高いUAEやサウジアラビアなどでリサイクルワンは現地の商工会議所や官公庁を通じて売り込み始めた。価格は未定だが1億〜2億円になるとみられる。リサイクルワンは廃棄物リサイクルのコンサルなどを手掛け11年5月期の売り上げは約30億円となっている。<参考:日経産業新聞より>