都市型キノコ栽培ベンチャー「BTTR Ventures」米国の4億杯のコーヒーかすを培地に再利用

 都市型農業は屋上ファームや植物工場による野菜の生産だけでなく、キノコ栽培にも注目が集まっている。カリフォルニアを拠点とするベンチャー企業、BTTR Venturesは2009年に設立された。

BTTR(ベター)は “Back to the Roots” の略で、アーバン・マッシュルーム・ファームを提案しているユニークな企業。

栽培方式もサステナブルにこだわり、キノコ栽培の培地には、使用済みのコーヒーかすをリサイクル利用しており、同社では、家庭でも栽培できる小型のキノコ栽培キットや農業用の土壌改良剤を販売している。

都市型キノコ栽培ベンチャー「BTTR Ventures」米国の4億杯のコーヒーかすを培地に再利用 
メインの栽培商品は「oyster mushroom」(ヒラタケ)を栽培するキットである。米国でもメジャーなキノコであり、どこのスーパーでも安価で売れているキノコである。

栽培キットの販売価格は約2,000円。栽培方法も簡単で、箱から取り出し、1日2回霧吹きで表面を濡らしてあげるだけ。10日間で収穫可能となり、室内の光があまり当たらない所でも栽培可能である。

葉野菜のように蛍光灯のような人工光を長時間照射する必要もないので、追加投資や大きなエネルギー消費も必要ない。


 米国では、1日に4億杯のコーヒーが飲まれている、と推計されており(E-Importsの調査結果による)、使用済みコーヒーをリサイクルするアイデアは素晴らしい。

同社は現在、カリフォルニアを活動拠点としており、ベイエリアの地元のコーヒーショップから、週に約3トン以上の使用済みコーヒー(粉)を回収している。

その他、キノコ栽培キットを利用して、学校への出張講座や子供達とのワークショップも定期的に開催しており、子供たちからも非常に評判が良い。

観葉植物や野菜を栽培する体験農業はあっても、キノコが栽培できる経験はできないからだ。キノコ栽培なら、収穫までに1ヶ月以上も観察・手入れする必要がなく、たった10日間で収穫・結果が見える、という点も子供たちの農業や食育・栄養学などを学習するためには、手軽なツールとなっている。

同社では、教育面以外にも、地元のNPOやファーマーズマーケットに定期出荷し、貧困層向けに提供されるフードスタンプ(政府が生活保護者に発行する食糧配給券)にて購入できる仕組みも構築している。