大手物流会社の鈴与グループは、東大やNTTファシリティーズなどと共同で、次世代のトマト栽培法を探る大規模実証実験(太陽光利用型植物工場)を始めた。最新のIT技術を駆使して2年間で自然栽培の数十年から数百年分に相当する膨大な「ビッグデータ」を収集。糖度の高いトマトを大量に収穫する方法を研究する。
実証実験の舞台となるのは、鈴与グループの農業生産法人「ベルファーム」(菊川市)の農業用ハウス。2棟を8区画に区切って、1年に3.5回栽培できる「低段密植栽培」を中心に実験する。
一般的な「多段栽培」と比較するとともに、条件や環境を変えて生育状況を比較し、生食用トマトに最適な栽培方法を確立する。生育環境、生育状況、農作業の様子の3つを同時にモニタリングすることで、大量のデータを集め、統合的に解析する。
これにより、現在は10アール当たり15〜20トンの収穫量を25トンまで増やし、通常は5〜6度の糖度を7〜9度まで安定的に引き上げることが目標。最新のIT技術を使って収集したビッグデータを解析することで、トマトの生産性向上と省エネに貢献する最適で効率的な次世代の農業システムを構築していく。