TW北海道、土耕による植物工場にて高品質なホウレン草を周年生産

2018年現在、同社は既に撤退しております。

 土耕による太陽光利用型植物工場システムを開発している株式会社TW北海道は、国内にある施設のほとんどが水耕栽培を採用する中、ICTを活用した生育環境のコントロールにより、土耕でネックとされる連作障害が起きにくい仕組みを生み出した。

栽培システム(TWシステム21)の販売も2010年から開始。建設コンサルタントの株式会社ドボク管理が購入し、今春から導入する予定という。

TW北海道、土耕による植物工場にて高品質なホウレン草を周年生産
同社は、農業生産法人の「NOWA(ノア)そらち」から独立し、2008年に設立。07〜09年に農林水産省から補助採択を受け、ITを活用した営農や植物工場の普及に関する研究を進めてきた。


施設内では、もみ殻と土を混ぜた土壌にホウレンソウを栽培。温度や湿度、土壌水分など生育に重要な施設内のデータはICTを活用して制御され、カメラで葉の色や面積を一枚ずつ確認しながら、部分的に肥料を与える作業も全て自動化している。

太陽光を利用するため、日射量の管理にも余念がない。ホウレンソウは、日照時間が長くなると花を咲かせるため、反射カーテンで自動開閉して調整。冬場など日照時間が少なくなるときは、1棟で72個用意している高圧ナトリウムランプが太陽光の代わりをする。

高圧Naランプによるエネルギーの7割が熱源に変わるため、ハウス内の気温を高くできるほか、ランプからの熱を地下に送風することで地温を上げる効果もある、という。


ハウスでは土壌を高さ600ミリ盛り上げ、そこに培地温調整用の送風管を通している。冬場は地中に電熱線を埋め、土の温度が下がらないようにしている。

植物工場は、連作による土壌の環境変化で次第に生育が悪くなる「連作障害」を嫌い、水耕栽培を採用するケースが大半を占める。このシステムでは、もみ殻を土壌に半分入れることで空隙を作り、土壌中のCO2濃度を下げながら酸素濃度が高くなるように工夫されている。

その他、ICTを活用した施肥管理や有機物肥料を導入することで、連作障害を起こすことなく、年間8〜9回の収穫を可能にした。

今回の太陽光利用型植物工場システムは、高圧ランプの付いたタイプで1000万円、補光無が700〜800万円に設定している。