信州大学上田キャンパスでは6月4日に「ファイバーイノベーション・インキュベーター(Fii)施設」「先進植物工場研究教育センター(SU-PLAF)」開所式が開催された。Fii施設では、パイロット試作開発設備の設置、試作品性能評価システムの設置、人材育成支援、地域産学連携支援体制の活用、国際的な情報ハブを活用した事業展開の支援などを実施。
SU-PLAFの施設では、世界標準(40フィート)冷凍コンテナを用いた自立的完全制御型植物工場の研究開発、植物生育技術開発と植物工場関係企業・団体・事業者に対する人材養成を実施していく予定。以下は過去の詳細記事となります。
===2011年2月11日===
信州大繊維学部(上田市常田)は4月から、小型の植物工場の開発に乗り出す。同学部の野末雅之教授(生物機能科学)によると、開発する植物工場には、輸送用の冷凍コンテナ(長さ12メートル、幅2.4メートル、高さ2.9メートル)を用いる。一般的な植物工場内の光は、蛍光灯やLEDが用いられるが、経費節約のために太陽光を利用し、悪天時や夜間には太陽電池で蓄えた電力で人工光に切り替える。
工場内では、二酸化炭素や養液量などを制御した水耕栽培で葉物野菜を中心に栽培する。野末教授は「コンテナは断熱性に優れており温度制御のコストが削減できる。広大な敷地も不要。採光には光ファイバーを用いるため、窓はなく断熱性を保てる」と話す。
信州大学では昨年11月に完工した先端植物工場研究センター(上田市)を4月から稼働させ、コンテナで栽培した野菜の成分分析や栽培システムの開発などを研究するという。また、同センター内には一般企業向けのレンタル研究室も用意し、産学官が連携した開発環境を整える。<詳細は施設概要(スライド紹介)にて>
経済産業省によると、植物工場は生育環境を制御し、1年を通じて計画的な栽培ができる。09年4月現在、ビルの一室などを使った完全人工光型と鉄骨ビニールハウスを使った太陽光・人工光併用型の2種類が全国に計50カ所ある。約7割が完全人工光型で、レタス、ハーブ、サラダ菜、トマトなどが栽培されている。信州大のモデルは、太陽光の利用やコンテナの活用により、より経費を節約できる利点がある。今後の研究や取組みに期待したい。<参考:2011年2月12日毎日新聞より>