UAEドバイの高級ホテル、シュタイゲンベルガー・ホテル・ビジネス・ベイ(Steigenberger Hotel Business Bay,Dubai)の2階にあるレストラン「Cuisinero Uno」では、テラス・スペースにある約40m2の場所に温室ハウスを設置し、野菜の生産を開始した。
栽培品目は、レタス、トマト、ナス、各種ハーブ類、食用花など。苗の段階では、人工光LEDも活用しながら栽培している。施設内では、水耕と魚を栽培するアクアポニクスを導入している。
ディナーでは、いつでも見学可能。週末には見学と試食ツアーも定期開催しており、お客さんが播種や苗植え体験もできる。さらに野菜を活用した簡単調理法もレクチャーしてくれる。
同社によると、食材費もわずかだが3~5%の節約につながり、地産地消による獲れたて有機野菜を提供することで、料理の品質が向上するメリットが大きいようだ。
今まで提供していたサラダも、調達する野菜の質が悪い場合もあり、課題の一つであった。農場から食卓までをつなぐ地産地消・店産店消「Farm to Table」を身近に体験してもらうことで、サステイナブル、環境に優しい健康食がどのようなものであるか、お客さんに伝えていきたい、という。
現在は、ゴミになる食品廃棄物のリサイクル「コンポスト」に関する実験も行っている。
UAEでは昨年3月、気候変動・環境担当大臣も、食料安全保障の観点から水耕栽培などの技術を優先的に支援すると表明している。公式データによると、野菜を栽培する施設ハウスは、2009年には50カ所前後だったが、2016年には1,000カ所にも拡大している、という。
UAE(ドバイ)では、現時点では潤沢な資金を将来に投資し、環境・エネルギー、食糧生産に関する研究開発や事業支援、海外からの技術導入を加速させている。
近い将来、高層ビル・丸ごと1棟が植物工場といった、コロンビア大学のDickson Despommier氏などが提唱する垂直農場「Vertical Farming」(関連記事:未来の農業コンセプト、ピラミッド型の垂直農場)も実現されるかもしれない。
[関連記事]
・UAEの高級ホテルに自社農園を整備「健康・環境」への意識の高い観光客をターゲットに
・UAEドバイ初の商業ベース・閉鎖型の植物工場が本格稼働
・中東の農業政策・植物工場ビジネスの可能性
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