食品サイクル法による廃棄物の活用、循環型農業にチャレンジする企業一覧

07年末に施行された改正食品リサイクル法は食品関連業者に対し、生ごみの発生量と再利用の割合を示すリサイクル実施率の目標値を業種ごとに設定している。具体的な数値は以下である。食品製造85%、食品卸70%、小売り45%、外食40%の目標値を12年度までに達成するように求めている
 
 
特に小売り、外食は店舗数が多く、賞味期限切れや食べ残しで大量の生ごみが発生する。また、品切れを防ごうと一定量の商品・食材を常時そろえるため、食品廃棄物も減らしにくく、食品リサイクルの強化が急務となっている。こうした現状・背景の中で、様々な業種から「食品リサイクル」や「循環型農業」にチャレンジする企業も現れている。以下では参考となる各企業の取組みなどを簡単に整理した。
 

  • オリックス不動産
    自社で所有するホテルや旅館が排出する食品残渣を堆肥化し、農産物を育てて宿泊客に提供。別府温泉の杉乃井ホテル(大分県別府市)が地元企業と連携して、堆肥で育成したトマトを調達するリサイクルに着手している。
     
  • 生活協同組合コープこうべ
    2001年の早い時期から、資源循環型の農園「エコファーム」を開始。
    神戸市にある自社の33店から加工時に出る野菜くずや畜肉の切れ端を専用車両で集め、年間約600トンをファーム内の土づくりセンターに運ぶ。隣接の牛舎で出る牛ふんなどを混ぜ、2カ月弱で堆肥を生産。近隣農家とコープこうべの担当者が出資する農業生産法人(有)みずほ協同農園が、園内で堆肥を使って育てたホウレンソウなどの野菜を再び店舗で販売している。
     
  • 餃子の王将
    1日あたり出る生ごみの量は1店舗平均で約20キログラム。同社では05年から生ごみ処理機の設置を開始。野菜を加工する際に出た端材や多くの料理で使用する卵の殻、食べ残し、といった生ごみ全体の80%を肥料原料として再利用している。今後、新店舗には原則として処理機を設置。既存店舗も改装時に設置スペースを確保するなどして、早期に約360店の直営全店に広げる考え。
     
  • ダスキン
    日本国内における「ミスタードーナツ」の運営会社である同社では、年間3873トン(09年3月期)の廃棄ドーナツが出ており、その多くは産業廃棄物として費用をかけて処理していた。そこで、廃棄ドーナツを、家畜の飼料としてリサイクルする取り組みを実施しており、全国約1300店舗の約75%で廃棄ドーナツを有効活用できる体制を整える計画
     
  • (株)のぼる
    同社では、160の幼稚園に1日8千食の給食を供給し、毎日350キログラムの生ごみが発生していた。そこで、本社工場内に1180万円を投じて生ごみを堆肥化する処理機を導入。幼稚園の花壇などで堆肥として利用するほか、処理機を開発した楽しい(株)が契約する農家に堆肥を使ってもらい、生産した野菜を同社が買い取る仕組みも検討。従来、生ごみは産業廃棄物として処理し、年間処理費用は約280万円かかっていた。設備の償却費と運転費用を含めても、処理費用は半分程度になると予想されている。