株式会社イノベタスは7月10日、2015年3月に完成した「富士ファーム」の完成披露式典を行った。イノベタスは約2年前に、それまで稼働させていたパルプ工場を閉鎖し、植物工場ビジネスに乗り出した。
同社は、2014年6月に経済産業省「グローバル農商工連携事業」に採択され、2015年3月1日に植物工場「富士ファーム」が完成し、今日まで試験栽培を行ってきたが、栽培に目途がついたことから本格的な生産・販売を開始した。
栽培品目は、レタス系葉物野菜(フリルレタス、グリーンリーフ、ロメインレタス、レッドリーフ、サラダサンチュ)、生産規模はフル稼働時で日産12,400株、延べ床面積は1,851.5平方メートル。
主な協力企業は東洋紡エンジニアリング、平和建設、ファームシップの3社である。現在の社員数は、パートも含めて約70名を雇用している。地元関係者からは雇用の受け皿としての期待も高い。
現時点での富士ファームの生産量は日産約6,000株だが、来月には12,000株程度になり、稼働率100%を目指す、という。販売先については、仕入れ注文は20社以上からオファーがあり、更に台湾企業からも日産2,000株程度の購入依頼もあったが、現在は全てに対応できていない状況であるという。
現時点では、地元の富士市と東京都内のスーパーを中心に販売しているが、将来的には生産規模を拡大し、海外販売や業務用野菜の提供も考えているようだ。
富士ファームの特徴として、すべての照明設備にLED光源を採用していることが挙げられる。その利用本数は単一植物工場では世界最大である。消費電力量は、同一規模ですべて蛍光灯で稼働した場合よりも4割程度軽減できる、と関係者は語った。
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