日本製粉株式会社は、農研機構、オルガノ株式会社と共同で、米ぬかから95%以上の高純度セラミドを工業的に連続生産する技術を開発した。セラミドは皮膚に含まれる保湿成分で、皮膚へ塗布、経口摂取により保湿などの効果が期待されることから、様々な化粧品や機能性食品の原料として利用されている。
現在市場に出ているセラミドは、10%程度の低純度品であり、夾雑物(セラミド以外の90%の成分)に由来する色や臭いがあるものもあり、用途が限られています。高純度なセラミドは色、臭いがほとんどなく、澱(おり)も生じないことから、透明な化粧液や医薬品、研究用途に使用できます。
また、現在主流となっている植物セラミドにはステロール配糖体が必ず混在します。これはセラミドと分離が困難で、セラミドを高純度化する上で問題となっていました。工業的なクロマト分離技術(擬似移動層クロマトグラフィー)を応用することで純粋なセラミドの工業的な分離に成功しました。
通常のセラミドは複数のセラミド種の混合体です。本技術を応用すればセラミド種ごとの製造が可能です。本技術は米ぬか以外のものを素材とする植物セラミドにも応用が可能です。セラミド素材ごとの高純度セラミドの効能の評価が可能となり、より効能の高いセラミド製品の開発への展開が期待されます。
<開発の社会的背景>
セラミドは脂質の一種で、皮膚の角質層に多く存在し、皮膚から雑菌の進入を防ぎ、うるおいを保つ役割を持っています。セラミドは年齢と共に減少し、しわ、肌荒れの原因となるほか、アトピー性皮膚炎患者でも減少することが知られています。セラミドを皮膚へ塗布、経口摂取することにより保湿などの効果が期待され、様々な化粧品や機能性食品の原料として利用されています。
一方、市場に供給されているセラミドは5〜10%程度の低純度のもので、セラミド以外の夾雑物が多く含まれています。このため、夾雑物に由来する色や臭いがあるものがあり、製品開発を行う上での制限となっています。これまで、高純度なセラミドは非常に高価な分析用途の標準品試薬しか存在せず、産業活用が可能な大量かつ低コストの高純度セラミドの製造法が望まれていました。