茨城県の農業生産法人「テクノーカ本部」が昨年秋から幕別町途別で建設を進めていた、ホウレンソウの水耕栽培施設が完成した。ガラス温室は面積1ヘクタール。近く栽培に取り掛かり、生産が本格化すれば年間300トンの出荷を見込む(当初生産量は年間数十トンと見込み、段階的に増産していく計画)。
同施設は敷地面積3.8ヘクタールで、ガラス温室の他、育苗施設、水800トンをためるタンクなどを備える。建設費約5億5000万円。うち約2億6000万円は農水省の補助を受けた。同社によると、ホウレンソウの水耕栽培施設としては国内最大規模。
施設や栽培システムは水耕栽培の世界的先進地・オランダの技術を導入。温度や水溶液の管理などはコンピューターで自動制御する。温室は内部に仕切りがなく、升(奥行き1.2メートル、長さ6メートル)が並び、ホウレンソウの成長に合わせて施設内の収穫場所まで自動で移動する。ホウレンソウは苗を升に移植後、平均25日で出荷。ほぼ全量が本州方面に出荷される。従業員はパートも含め45人で、地元から採用する。
同社はグループ農場を含め、茨城県内など約50カ所でホウレンソウやコマツナ、シュンギク、ルッコラなどを水耕栽培し、関東に出荷。ホウレンソウは無農薬で栽培している。関東では夏場は気温が高く、生産量が落ち込んで需要に追いつかないことから、冷涼で大規模に生産できる北海道での生産を計画した。
同社として関東以外では初めての農場となる。同社は、水耕栽培を行う個人経営の「テクノーカ甚左衛門」として1991年に創業。2005年に株式会社テクノーカ本部を設立した。4年前からは道内農産物の販売も手掛け、十勝の農家とも取引がある。道内各地を調査した上で、日照量や立地条件などから幕別での生産を決めた。当法人としても、今後の動向を継続的に調査していくことにする。<参考記事:十勝毎日新聞社ニュースなど>
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