米国・日本における南極の植物工場プロジェクト。将来的には全面LED光源による施設も視野に

キーストーンテクノロジーによる南極基地へのLED光源の採用

 LED照明を用いた植物工場用栽培装置を開発・製造するキーストーンテクノロジー社は、植物用LED照明の開発・販売事業に取り組んでおり、主力のLED商品「収穫ACE」は南極の昭和基地にある植物工場にも採用されている。
同社は電子部品の受託開発会社を経営していた岡崎社長が、事業の幅を広げようという狙いで2006年に設立したもの。

LED照明は、植物育成のための特定波長(660nm、470nmといった赤・青の波長)だけを効率よく照射できるのが強みであり、消費電力も少ないといったメリットがある一方で、大きな導入コストが必要となる。

現在の完全人工光型植物工場では蛍光灯ランプを採用しながら、一部にLED光源を導入した施設はあるが、全面にLED光源を採用した植物工場の稼働実績はゼロに近い。

また全面LEDの採用となるとバックライトや基盤部分に発生する熱問題もある。LEDは長寿命だが、栽培のために一日中照射していれば発熱によって、照度が落ちるなど製品の性能が劣化するため、同社ではLEDを装着する基板を放熱性の高いアルミ製にするなどの工夫も行っており、植物に与える水の一部をLEDの冷却水として使う栽培装置も開発しているという。
同社の10年6月期の売上高は1億円で、そのうちLED照明は4000万円となっている。

日本・米国における南極基地の植物工場について

南極の昭和基地に導入されている植物工場は主に蛍光灯ランプによる5段の多段式にて、レタス・バジルといった葉野菜を栽培しており、栽培設備はみらい社が担当しているが、同様のプロジェクトがアメリカでも実施されている。

アメリカの南極基地では、1992年から小型の温室ハウス内にて実験的に葉野菜を栽培してきた。そして基地のリニューアルの際に、アメリカ国立科学財団(National Science Foundation)の支援を受けて、以下の写真のような葉野菜やトマトといった果実類を基地内で栽培をスタートさせている。

栽培設備システムの選択や総合的なコーディネータ・栽培指導は、アリゾナ大学にある植物育成の環境制御部門(CEA)が担当。建設・施工作業はSadler Machine Companyが担当しており、2004年2月に栽培システムを導入している。
宇宙空間や砂漠地域、南極・北極といった極寒地域での植物工場(閉鎖空間内の植物育成)に関する研究は、日本だけでなく欧米でも進められており、今後の進展にも期待したい。
米国・日本における南極の植物工場プロジェクト。将来的には全面LED光源による施設も視野に米国・日本における南極の植物工場プロジェクト。将来的には全面LED光源による施設も視野に米国・日本における南極の植物工場プロジェクト。将来的には全面LED光源による施設も視野に

米国の南極基地の外観、施設栽培・植物工場による葉野菜生産の様子。
黄色は高圧ナトリウムランプを使用しており、丈の高いトマト等も試験栽培を行われている。

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