南極の昭和基地、日本企業による植物工場の研究
独自のLED技術により、完全人工光型植物工場システムを開発するキーストーンテクノロジー社は、植物育成用ランプの主力商品「収穫ACE」が南極の昭和基地にある植物工場に採用されている。
南極の昭和基地に導入されている植物工場は、試験的にはLED照明を入れているようだが、現在は主に、蛍光灯ランプによる5段の多段式にて、レタス・バジルといった葉野菜を栽培しており、株式会社みらい(現在のMIRAI株式会社、同社は破綻し、別会社へ事業譲渡され事業を継続中)のシステムを採用している。
このように南極でも、LEDや蛍光灯ランプを利用して生鮮野菜を栽培する取組みが行われているが、同様の研究が米国でも行われている。
アメリカの研究施設では、トマトなどの果菜類も生産
アメリカの南極基地では、1992年から小型の温室ハウス内にて実験的に葉野菜を栽培してきた。そして最近、基地のリニューアルの際に、アメリカ国立科学財団(National Science Foundation)の支援を受けて、以下の写真のような葉野菜やトマト等の果菜類を基地内で生産している。
※ 米国の南極基地の外観、施設栽培・植物工場による葉野菜生産の様子。黄色は高圧ナトリウムランプを使用しており、丈の高いトマトの試験栽培も行われている。
設備プラントの選択や総合的なコーディネータ・栽培指導は、アリゾナ大学にある植物育成の環境制御部門(CEA)が担当。建設・施工作業は、Sadler Machine Companyが担当しており、公開情報によると、2004年2月に栽培システムを導入している。
今後も南極や宇宙など、特殊環境下にて植物工場が活躍できるシーンも増えることが期待されており、日本や米国だけでなく、中国やロシア等、世界各国での実証試験が進められている。
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