双日、メビオールによるフィルム栽培を採用したローコスト植物工場の開発

 双日株式会社は、農事組合法人成田ガイヤと共同で、日本で植物工場技術を活用した農業事業に参入する。両社は、千葉県匝瑳市に約3,500m2の農地を借り受け、メビオール株式会社が開発したフィルム栽培・アイメック植物栽培システムを導入し、高級トマトなど付加価値の高い野菜・農産物の生産を開始する。

双日、メビオールによるフィルム栽培を採用したローコスト植物工場の開発
床面積が1,900m2のハウス施設内にて、4種類のトマト(ミニトマト)を栽培。糖度を測ると、現時点でも11~13度と通常のミニトマトの倍の数値を実現している、という。

双日、メビオールによるフィルム栽培を採用したローコスト植物工場の開発
 アイメック植物栽培システムは、トマトやイチゴなど果菜類の生産に適した栽培方法で、特殊なフィルムを活用し、高糖度で品質の高い農産物が生産できる。

また、土壌から隔離させるため根からの菌の進入を防ぎ、薬剤代と、点滴養液施用による肥料代の削減が期待できるため、おいしくて、環境に優しい、安心な農産物を年間を通して安定的に生産(周年安定供給)することができる次世代の農業技術として期待されている。

トマトの根の部分を見ると、保水力に優れた特殊な薄いフィルムが張ってあり、根が土壌と接触していない。

フィルムは土壌に膜を張ったようになっており、肉眼では見えないほど小さい穴が無数にあいている。膨大な数の根を張ったトマトが、必死で水や栄養分を吸い取ろうとしている。

双日、メビオールによるフィルム栽培を採用したローコスト植物工場の開発
水分の供給を制限することで高糖度トマトを実現でき、浸透圧効果で、養液の吸収力を高めるためにトマト自体が糖分とアミノ酸を大量に作り出す、という。

2010年9月に収穫したトマトは、食材宅配大手のオイシックスなどで販売し、売り上げは好調という。ミニトマトよりも栽培が難しい大玉トマトにも挑戦し、年間25トンの収穫を目指す。

同社では既に、中東(UAE)でも実験的に栽培を開始しており、アジアや中東など幅広い海外市場もターゲットに置いている。

※ 写真はメビオールのフィルム栽培を採用した別施設のもの。


[関連記事] 三菱ケミカル関連、メビオールのフィルム栽培技術を豪州にて実証実験開始