NASA宇宙ステーションによる食料生産。2030年の火星探査に植物工場が導入される?!

 2015年8月10日には、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在しているNASAの宇宙飛行士が、人工光型・植物工場にて生産したレタスを初めて試食したが、その後も植物工場システム「Veggie」では継続的な栽培実験が行われており、花の栽培やレタスの再生栽培などが行われている。

国際宇宙ステーションISS内に導入された植物工場「Veggie」では6株のレッド・ロメインレタスを栽培され、収穫の際には株元を切って、全てを収穫するのではなく、宇宙飛行士が必要な量だけを収穫し、再度、植物を生長させる「再生栽培」の実験が行われている。

再生栽培とは、植物の株元・根を活用して野菜を再生させる栽培方式であり、身近な例では、私たちもネギをカットし、根本だけを水につけ、2週間程度で葉を再生させ、繰り返し使用している。

NASAの実験でも、収穫可能な葉の部分だけを選抜し、根を残して10日ごとに収穫していた。種子から栽培するより、継続的な収穫と収量アップにもつながる。こうした栽培実験の目標は、新鮮で栄養価の高い野菜を宇宙飛行士に提供できるようになることである。

NASAによる宇宙ステーションや火星探査での農業・植物工場への取り組み

宇宙ステーション内の植物の生長具合はカメラや環境測定データを通じて、地球上にいる植物栽培の研究者とも共有することができる。

例えば、小さな苗が過剰に水を吸収した際には、ファンを稼働させ湿度を低下させたり、風を当てることで植物の蒸発量をコントロールすることで、植物を安定生長させるように地球上からアドバイスを実施することが可能である。

火星探査における農業・植物工場の実験も

ISSの実験では「宇宙空間や無重力状態でも、しっかり植物が育つかどうか」「宇宙飛行士の健康に寄与するか」といった検証を実施しており、より長期のミッションとなると、宇宙飛行士の健康・食料自給が大きな課題となる。
NASAによる宇宙ステーションや火星探査での農業・植物工場への取り組み
NASAでは、2030年代には火星への探査を計画しており、そのために火星探査の模擬シミュレーションも行っている。ハワイ大学マノア校では地球の中でも、できるかぎり火星に近い環境(標高2500m)で生活・探査活動の実験が行われている。

実験では「約100平方メートルの隔離された室内ドームでの長期生活による健康・精神的な影響」、屋外での模擬探査では実際に宇宙服を着て、ロボットなどの探査機を利用しながらのシミュレーション訓練もある。

さらに食料生産では、室内での植物工場やアクアポニクス、屋外では穀物の栽培実験が行われ、火星探査による長期ミッションにも対応できるかどうか、様々なアプローチから研究が実施されている。

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※ 写真はNASA、ハワイ大学マノア校のウェブサイトより引用

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