種苗ベンチャーのアースノート(沖縄県名護市)は東京大学や名古屋大学と連携し、福島第1原発事故で放射能汚染された水田や畑を、ソルガムやイネ、ヒマワリなどを使って土壌浄化する実証実験を、福島県いわき市、本宮市、二本松市の3市で6月から行っている。
イネ科の植物「ソルガム」の研究開発に取り組んでいる同社は、ソルガムがカリウムを多く吸収する性質から同じ系統で放射性物質のセシウムでも応用できるとして着目した。現在、植え付けたソルガムの収量調査に着手。刈り入れ後、東大などで分析作業に入り、来春には調査結果が出るとしている。
実験は、いわき市の農業生産法人「みずき」とも連携しながら、放射線量が観測された3市7カ所の水田と畑で実施。ソルガム200種、イネ300種、ヒマワリやセスバニアなど植物20種を植え、どの植物、品種が効果的にセシウムを吸収するのかを調べる。
さらにソルガムから放射性物質を取り除き、バイオエタノールを製造する取り組みも実施。農業でエネルギーを生産するシステムの構築も推進する。同社は2011年度は、7カ所で実験を実施し、12年度はエタノール製造までのモデル事業を行う。13年度以降は、面積を増やし、汚染された土壌の浄化に本格的に取り組む方向だ。
東大大学院で放射線遺伝学を専攻した同社の徳永毅ゼネラルマネージャーは「農家が農業を続けながら、汚染された土壌を浄化する方法を提案したかった。実験で得られた化学の結果を生かして、農家の人たちの手助けをしていきたい」と述べた。植物が持つ生物機能を活用して汚染された土壌や地下水を浄化する「ファイトレメディエーション」は、これまでの汚染土壌を掘削・除去する方法より低コストでできることから近年、注目されている。同社によると、ソルガムによって3年間で90%のセシウムが浄化できたとの米農務省の報告があるとした。<参考:琉球新報より>