米国のケンタッキー州の東部にあるパイクビルにて、太陽光利用型植物工場を建設中のベンチャー企業「AppHarvest社」が、アメリカ全土の起業家を支援するRise of the Restから、施設建設のために6000万ドルの投資を受けた。
同地区はかつて、石炭産業によって発展したが、現在では米国の平均失業率の2倍近くとなっている。同社では、こうした衰退を防ぐため、新たな産業の発展が必要だと考え、大型のハイテク施設にて地元の雇用創出・地域活性化、パイクビル大学との共同研究や学生への教育プログラム支援などを行っていく。
施設の完成は2018年春を予定している。パイクビルは、地理的にも隣接する州・周辺の大都市へアクセスが良く、1日で全米の70%近くの人々に配送できるというメリットから建設地として決定した。
オランダにおける植物工場ノウハウを導入
今回のプロジェクトではオランダの技術ノウハウが導入され、大学の教育システムなども参考にされている。
パイクビル大学では、オランダの食品アグリ等の職業大学「HASデン・ボス」、企業や大学技術などの情報・ネットワークを集約し、そのコア組織となる「ヴァーヘニンゲン大学」などを訪問している。
そして、AppHarvest社の太陽光利用型植物工場の建設には、オランダの温室メーカーであるダルセム社(Dalsem)が協力している。
全米の地域課題を解決するベンチャー起業家を支援
「Rise of the Rest」が約160億円のファンドを新設
アメリカ全土の起業家を支援するRise of the Restでは、昨年12月に、1億5,000万ドル(約160億円)規模のファンドをつくり、全米にある技術系ベンチャー企業9社に投資を行った。
ベンチャー企業が集中するエリアといえば、西海岸のシリコンバレーだが、同ファンド(Rise of the Restの組織が目指すもの)は全米を対象に、例えば地方の問題を技術とビジネスアイデアで解決できる創造的なベンチャー企業への支援に力を入れている。
同組織は、2014年から全米の起業家を訪問し、マッチングイベントなどを開催。ブルームバーグ創業者で、元ニューヨーク市長のMichael Bloomberg(マイケル・ブルームバーグ)、LinkedInの共同創業者であるReid Hoffman(リード・ホフマン氏)のほか、多くの成功した起業家や実績のある政府機関の代表などが資金提供、アドバイスを行っている。
その他、GoogleやPayPalの他、成功をおさめたベンチャー企業や、多くのベンチャーキャピタル・金融機関などの組織がパートナーとなっている。
今回の9社には、AppHarvest社の植物工場のほか、AIを活用した人材/求職マッチングのシステム開発を行うCotopaxi社など、最新技術開発を行うベンチャー企業が支援対象となっている。
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