社会福祉法人生活クラブ(生活クラブ風の村)では、後継者不足に悩む農家と働きづらさを抱えた方たちをつなぎ、新しい形の就労支援B型事業所として、福祉農園「農仲舎八街(のうちゅうしゃやちまた)」を立ち上げた。
【農仲舎八街の特徴】
・耕作放棄地✕障がい者就労支援を実現
・ソーラーシェアリング✕ユニバーサル就労の未来型福祉農園
・地元の方との憩いの場となる交流スペースを併設
【誕生の背景】
生活クラブ風の村が本格的に農業を始めたのは約7年前です。大きな目標は「日本の農地を守る」ことと、「ユニバーサル農業」の推進でした。
発足当初は、福祉農園とし0.1ヘクタールの畑をお借りし佐倉市をメインに農業を行いました。職員は農業初心者で試行錯誤しながら耕作していましたが、発足して3年目には生活クラブ生活協同組合も共同で運営をしていただけるようになり名称を虹と風のファームとして、現在では4.92ヘクタールの露地と0.08ヘクタールのビニールハウス併せて5ヘクタールの畑を耕作しています。
【課題1:日本の農地を守る】
後継者不足が深刻な農業は耕作放棄地の増加・農産物の自給率低下・産地の崩壊と様々な問題を起こしています。もちろんこの問題は日本の各地で起きている問題です。
生活クラブは日本の各地に提携産地としてつながりがありますが、八街の40年ほどお付き合いのある提携産地は70歳以上の方が多く、後継者不足に悩んでおられました。
誰かが農地を耕さなくてはいけない。耕さないと、農地がなくなる。自給率が下がってしまうということになります。
【課題2:ユニバーサル農業の推進】
日本には様々な理由で働きづらい、外に出られない等悩みを持った方々が約2000万人ほどいるそうです。中でも、対人関係が苦手で一般就労ができないとか、引きこもりになってしまうというケースは多く聞かれます。
ただ、働く意欲はあり環境さえ整えば働ける。ならば働ける環境を提供していろいろな悩みを抱えた人達が働ける場所、それがユニバーサル農業になります。
この2つの課題は、実はつながりがないようにもみえますが、実は大きくつながっています。対人関係が苦手だったり、引きこもり等精神的に悩みを抱えている方は、外作業をすることでその悩みを軽減できます。
そして、農業への参加をすることで後継者不足の農業の働き手になることができます。このことを形にしたのが今回開設する、障がい者就労継続支援B型事業所「生活クラブ風の村 農仲舎八街」です。
【栽培作物とソーラーシェアリング】
露地栽培では、人参・じゃがいも・落花生・大根・生姜・里芋・キャベツ・ブロッコリー・加工用トマト・レタスなどの栽培をします。ハウス栽培では周年小松菜の栽培を予定しており就労継続支援B型のご利用者さんに育ててもらおうと思っています。
生活クラブ生活協同組合が運営するソーラーシェアリングは2022年より売電事業が開始します。その下では、ほうれんそう・さつまいも・加工用イチゴ等の栽培も予定しています。
また、固定種の種とりにも取り組んでおり、真黒なす、姫落花生(まめ落花生)の栽培もしています。栽培体系は 減農薬減化学肥料栽培を行っており、農薬は慣行栽培の半分以下、肥料は化学肥料分20%以下で行っています。
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