株式会社GRIPSは、株式会社アイカムス・ラボとLuominen Labらと共同で、日々研究・臨床現場で行われるピペッティングと呼ばれる分注作業を安価なロボットアーム(DobotMagician)と電動ピペッター(pipettyPro)をコアモジュールとした、自動分注ベースシステムを開発した。
本技術を応用することで、今後は医療や農業分野への導入も進めていく。
これは、先行するプロトタープシステムをさらに進化させ、各コアモジュールの制御ソフトウェアを統合し、作業者が使いやすく、進捗をビジュアルに確認できるユーザインタフェースも実装しています。
国内外の研究・臨床機関における検査工程で、非常に大きな負担となっている分注(ピペッティング)作業を自動化し、また人の手による操作のバラツキによる検査結果の影響を軽減することが期待できます。
これまで、自動分注システムは既に様々な企業から提案がされていますが、比較的大規模でハイエンドなシステムが多い中、当社では、比較的安価に、また限られたスペースでも設置、捜査が可能な自動分注装置を開発テーマの焦点に、小規模クリニックやラボ、教育への応用を見据えたシステムを構築しました。
これにより、医療現場における煩わしい繰り返し作業の負担を軽減し、国内外の研究・臨床現場における作業効率、実験再現性の改善に寄与することを目指しています。
今回開発した自動分注システムのコアモジュールとなるロボットアームには、前回のコンセプトシステム同様、デスクトップ型のDobot Magicianを採用しています。
このロボットアームはそもそもSTEM教育向けに設計されたもので、ロボット制御の専門家でなくても比較的容易に操作することが可能であり、繰返し精度が0.2㎜という安価でありながら高い精度を有しています。
既に工場などの製造現場で産業用途として導入が進んでおり、今後、医療、農業などへの応用も進められていきます。
分注を担うピペット部分には、今回のシステムを共同で開発に携わった(株)アイカムス・ラボの電動ピペッター“pipetty Pro”を採用し、Dobot Magician用にエンドエフェクタとして統合されています。
pipetty Proは、高精度な連続分注を実現する世界最小・最軽量のペン型電動ピペッターとして、既に多くの国内外の研究・臨床機関において採用されています。
また、今回のシステムは、さまざまな分注作業用途に適用すべくオープンソース技術を組合わせて構成されています。お客様のご用途に合わせてこの分注作業のベースシステムをカスタマイズし、さまざまなシステム連携に応用が可能です。
本ベースシステム開発にあたり、システムコンセプトの策定には、 Luominen Lab 角田氏のもつ医療現場における新技術適用の知見から助言を得ており、連続分注、段階希釈、ランダム分注を実装しています。
ユーザインタフェース(UI)開発においては、GRIPSのパートナー企業である群青デザインシステム(GDS)社/オフィスクラフト社のもつIoT技術の協力も得ることで、一社では実現することのできないオープンイノベーションの成果としてシステム構築の完成を見ることができました。
本ベーシステムを基に、お客様のご用途に対応しつつさらに機能の改良、応用範囲の拡大を図ってまいります。2022年4月より、順次お問い合わせいただいているお客様に対してご案内を開始する予定でおります。
<構成製品仕様>
pipetty Pro
吐出範囲 : 1-250μL
精度保証範囲 : 20-250μL
再現性(C.V.) :シングル分注時 20μL≦0.8% 連続分注時 20μL≦2.0%
自動ロギング機能の搭載により、実験日時や作業者名、分注量、温度、湿度などの情報を自動でデータ化します。作業者が分注作業を行うだけで、無線通信でデータベース上にログが記録されるので、実験プロトコルに沿って正しく作業が行われたかどうかの確認も容易です。
Dobot Magician
軸数 : 3+1
最大可搬重量 : 500g
最大リーチ : 320mm
繰り返し精度 : 0.2 mm
・販売開始(予定)
2022年4月頃。
・ベースシステム販売価格(予定)
768,000円から。
<株式会社アイカムス・ラボ>
2003年設立。岩手大学の金型技術を活用した超小型プラスチック歯車減速機とマイクロアクチュエータの技術を開発し、その応用製品を主力事業とする。アクチュエータを搭載した電動ピペット「pipetty」は、世界初のペンのように持つことができる世界最小・最軽量の電動ピペットとして世界に販売されている。
ウェブサイト:https://www.icomes.co.jp/
< Luominen Lab >
手のひらに載るくらいの程よい科学の普及を目指すために、2015年設立。バイオ・メディカル・診断関連の装置開発、流体デバイス開発コンサルティング業務も併設。株式会社GRIPSバイオメディカル部門技術顧問。
<株式会社GRIPS>
2019年設立。産業向けにロボットアームの販売や、シングルボードコンピュータ等の汎用品を用いた自動化・省力化を提案する。産業向け技術を応用した教育コンテンツの開発・教育の実施を通じた技術者や次世代人材の育成も行っている。DOBOT社製品の正規販売代理店。日本STEM教育学会賛助会員。
ウェブサイト:https://grips.co.jp/
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