三菱商事株式会社は、在シンガポール農産物事業会社Olam International Limited(Olam社、シンガポール上場)に20%出資し、Olam社と資本業務提携を締結することに合意した。
今後世界的に需要拡大が見込まれるコーヒー・ココア・ナッツ類等の食品原料をはじめとする農産物分野においても、農業生産やその周辺事業、貿易、加工を含めた原料調達網の拡充を進め、世界各国の消費者への安定供給を果たすと共に、グローバルな事業拡大の取組みを加速する。
1.資本業務提携について
三菱商事は、Olam社の創業家から8%相当の株式を取得するとともに、Olam社の第三者割当増資の引き受け(12%相当)により、合計20%の出資(総額約15.3億シンガポールドル(約1,300億円))を行い、Olam社に取締役2名を派遣し、経営参画いたします。
三菱商事とOlam社は、製菓・飲料等の食品原料を含めた幅広い農産物、特に世界的に高まる消費者の「食のサステナビリティ」への関心に対応した原料の調達網拡大に取り組みます。
また、Olam社の農業生産・調達基盤と三菱商事の食品製造・販売基盤を融合させ、農業生産及び周辺事業から集荷・加工・製品製造・販売に至るまでの新たな垂直統合事業プラットフォームを構築し、グローバルベースで事業展開していきます。
さらに、Olam社が持つアフリカでの原料調達網及び食品加工などの強固な事業基盤を起点に、将来有望な消費市場であるアフリカ大陸における事業拡充にも積極的に取り組みます。
2.背景
新興国経済の発展に伴う食生活の多様化・西洋化の進行により、主食である小麦粉製品(麺・パン)、米、肉類、水産品に加え、コーヒー、ココアやナッツ類の農産品需要も拡大する傾向にあります。
また、先進国では、消費者が「品質」に加えて社会・環境面の課題解決につながる「サステナブル」な食品を求める傾向が高まっており、世界規模でグローバルブランドを展開する大手食品メーカーがサステナブル原料の比率を引き上げる動きを見せています。
日本でも、レインフォレスト・アライアンスなどの認証を受けた農園で栽培された原料(コーヒー等)を使用する動きが広がっています。今後は、この流れが加速し新興国にも広がっていくことが予想されます。
Olam社は、1989年にナイジェリアでナッツトレーディング会社として創業以降、M&A等により事業規模を拡大し、世界65か国で44の商品事業を展開する大手農産物事業会社です。
コーヒー、ココア、ナッツ類など世界トップクラスのシェアを誇り、サステナビリティ・トレーサビリティを重視した農業生産・集荷・製造加工までのバリューチェーンを構築しています。また、アフリカではこれらの商品に加え、製粉、加工食品事業等も含めた強い事業基盤を有しております。
三菱商事とOlam社は、20年以上に亘る取引があり、2014年に三菱商事がOlam社より株式80%を取得した豪州穀物事業会社の共同事業運営を通じて事業パートナーとしての関係がさらに深まりました。今般「中長期的な事業成長を実現するための戦略パートナー」を求めるOlam社の意向を受け、両社間で中長期的な成長戦略を協議の結果、資本業務提携契約を締結するにいたりました。
三菱商事は、Olam社を戦略的事業パートナーとすることで、日本のみならず世界各国の消費者へのサステナブルな食品の提供に貢献していきます。また、日本では、コーヒー、ココア、ナッツ類等を取扱うOlam社との合弁販売会社の設立し、サステナブルな原料の提供に加え、お客様のご要望に応じた原料加工品の供給にも取組んでいきます。
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