宮城県栗原市にある電気工事会社の株式会社藤電気では、反射板を工夫して効率を高めたLED光源の植物工場を開発した。同社が提案するシステムは、同レベルの性能を持つ他のLED栽培装置に比べ、電気代を3割ほど節約できるという。部品すべてに市販品を使ったことで価格も大幅に抑えた。
栽培装置は、高さ1.4メートル、幅0.9メートル、奥行き0.5メートルのアルミパイプ製で、植物を置くプレートが3段になっており(各段のLEDを3列、1列当たり1ワット16個)、光源は高輝度の白色LEDを採用した。消費電力の少ないLED電球を使い、反射率の高いアルミ板で覆うことで、植物に効率良く光があたるように工夫した。現在、主流となっている蛍光灯の栽培装置に比べ、電気代は6分の1程度で済むという。
同社は、明治大農学部の伊藤善一専任講師の協力を得るとともに、同市の新製品創出事業にも認められ、480万円の補助を受けた。実証実験は、温度や湿度を管理していない通常の民家で実施し、平均室温15.8度、同湿度48.8%でルッコラ、ミズナなどを栽培した。その際の電気代は約840円。レタスなら5〜6キロ、ルッコラなら1.5〜2キロの収穫が可能である、という。
価格約50万円で、今春にも販売を開始する。試作機を使ったレタスやルッコラ、水菜の栽培実験では、種まきから30日ほどで約20センチに成長。伊藤専任講師は「サラダ用のベビーリーフとして出荷できる大きさ。今後はイチゴなどでも栽培実証したい」と話す。
同社・社長は「反射板の加工も地元企業に依頼した。寒い地域でも効果的に栽培できるオプション機能も春までに完成させ、同時に発売できるようにしたい」と話す。(参考:2013年2月1日、読売新聞より)
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