巨大農家グロートピア、農業用ドローンを自社開発。1,500万円の経費削減へ

 米国ニュージャージー州にて、巨大農場を運営するグロートピア・ファームズ社では、自社開発した農業用ドローンを公開した。同社では、約364ヘクタールの農地にて野菜・果物を生産することで、一年中何かしらの作物を出荷している。

巨大農家グロートピア、農業用ドローンを自社開発。1,500万円の経費削減へ
栽培方式は、露地・土耕栽培が中心だが、ハウスによる水耕栽培も行われており、今年からは、ドローン栽培エリアも設け、既に農場管理が行われている。

同社の主力商品は、レタスなどの葉野菜のほか、アスパラガス、ズッキーニ、パプリカ、キュウリ、トマトなどの果菜類。

巨大農家グロートピア、農業用ドローンを自社開発。1,500万円の経費削減へ
水耕栽培による大型リーフレタスを生産。ボストンレタス、バターヘッドレタスなど呼び名は様々ある。
出荷商品の95%は、米国内・カナダにある大手企業へ販売しており、サブウェイ、ウォルマート、メキシカン・グリルなど、有名企業が並んでいる。また、残りの商品は、周辺農家と連携しながらCSA(Community Supported Agriculture:地域支援型農業)を展開しており、会員制にて地元住民へ届けている。

既存の農薬散布機 VS ドローン。
約1,500万円~の経費削減につながる可能性あり

 同社によると、大規模農場を管理する際、大きな農薬散布機を使用するのだが、約1,500リッターが入るタンクと散布システム、GPSなどのフル・パッケージで、約2,000万円(17.5万ドル)が必要になる、という。

一方で、今回の自社開発ドローンは、約4万ドル(約440万円)を想定しており、この金額で大型農薬散布機と同様、もしくは、それ以上の仕事をすることが可能となる。

農業用ドローンは上空を飛ばして、害虫などを発見すると、GPSで正確な位置を特定し、ピンポイントに農薬を散布することができる。早期発見が可能であり、ピンポイント散布による農薬使用量の大幅削減にもつながる。

実証農場では、通常の栽培区(農薬散布機を使用)と比較すると、農薬使用量75%減を実現している、という。自動飛行することで、人件費や運営費用が不要になるメリットもある。必要経費はバッテリー用の電気代程度となる。

巨大農家グロートピア、農業用ドローンを自社開発。1,500万円の経費削減へ
同社による農場管理の様子。米国の大規模農家では、(季節)労働者の確保に苦労している。
[関連記事] 米国の農業ビジネス、トランプ発言への影響。数千万円の設備投資を行う農業経営者も