日本水産、環境保全・低コスト設備による国産陸上養殖バナメイエビ「白姫えび」を販売開始

 日本水産株式会社(ニッスイ)は、国内でのバナメイエビの陸上養殖について、安定生産・出荷が見込まれることから、業務用食材「白姫(しらひめ)えび」(冷凍品)として9月1日より全国に向け数量限定で発売する。

同社は以前より、フィジビリティスタディを実施しており、2016年4月に初水揚げ、その後2017年より一部を出荷してきた。

日本水産、国産陸上養殖バナメイエビ「白姫えび」を販売開始
商品特長:
・ニッスイ中央研究所頴娃(えい)養殖研究施設(鹿児島県南九州市)で、同研究所大分海洋研究センター(大分市佐伯市)の管理のもと試験養殖したバナメイエビです。

・厳選した親エビの卵を大分海洋研究センターで孵化させ、頴娃養殖研究施設の陸上施設で育成しています。

・一定の環境に管理された屋内施設で養殖することにより、周年の水揚げを実現しました。

・養殖には海水を使用していますので、強い甘み・旨みが特徴です。

・専用の配合飼料を使用しています。

・水揚げしたエビは、短時間のうちに加工・凍結し、高鮮度でお届けします。

・生食・加熱のどちらでもご使用いただけます。

・抗生物質は使用していません。

環境保全・低コスト設備によるバナメイエビの陸上養殖を実現

日本国内に供給されるエビは、多くが輸入の冷凍品です。国産で生食可能なものとして養殖クルマエビが供給されていますが、その量は多くはなく、希少なものとなっています。

ニッスイでは、鮮度がよく生食が可能で、投薬をしない安全安心な国産の養殖エビをお届けするため、2011年に中央研究所大分海洋研究センターが国内でのバナメイエビの陸上養殖の基盤研究を開始し、2016年より事業化のための研究(フィジビリティスタディ)に着手しました。

検討の結果、養殖方法には陸上施設での「閉鎖式バイオフロック法」を採用しました。これは、使用する飼育水の量を必要最低限に抑制し、飼育水槽内の微生物集合体(バイオフロック)に水を処理させるものです。

近年ヨーロッパや東南アジアで実用化が進んでいますが、日本国内での採用は初の試みです。水質の浄化に優れ、防疫が確実にできることに加えて、飼育水を取水・排水し続ける従来の方法に比較して環境負荷も低減でき、設備も簡易なため事業コストの低減も期待できます。

なお、本件の研究成果の一部は、「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構」に属する「生物系特定産業技術研究支援センター」の「革新的技術創造促進事業(事業化支援)」の支援によって得られたものです。

2017年2月以降に出荷して以来、甘み・旨みの強さやエビ本来の食感の良さでご好評を得ることができ、2017年度は40トンを出荷しました。2018年度は100トンの出荷を予定しており、2020年度をめどに事業化を判断する見通しです。