今年は関東や日本海エリアにて豪雪被害が多く報道されている。雪や異常気象は、消費者側から見れば「野菜価格の高騰」につながり、企業側からすると、大きな事業損失につながる。
豪雪では「物流面で混乱を引き起こし、野菜・食品の配送ができない」「大雪で外出が制限され、外食需要の減少やテーマパークにおける客数減にもつながる」といった、様々な業種に影響を及ぼしている。
野菜の生産では、豪雪によるハウス倒壊だけでなく、野菜価格高騰でビジネスチャンスである植物工場においても、多くの施設が大都市から離れた場所にあるため、物流の影響を受けて配送できない、といった課題に直面するケースもあるようだ。
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ただし、雪を有効資源として利用することで、冷却用の空調に活用したデータセンター(DC)に活用したり、データセンター(DC)から出た廃熱などを室内に取り込み、植物工場のような農業に活用する実証も行われている。
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帝国データバンク、企業倒産・大雪の影響調査結果
関東地方では今年1月22日に2014年の「平成26年豪雪」以来3年ぶりとなる大雪となり、道路・鉄道・航空便など各種交通機関が混乱した。2月に入っても寒波の勢いは強く、日本海で発達した雪雲が北陸地方に流れ込み記録的な大雪が続き、物流網を中心に影響が広がっている。
そこで帝国データバンクでは、過去10年間の大雪による企業の倒産事例(2008年~2017年)をまとめた。
■調査結果(要旨)
・2008年以降10年間の大雪による倒産は21件判明した。
・業種別に見ると、豪雪によるハウス損壊被害などの影響を受けた「農業・林業・漁業」が4件判明した。
このほか、製造や入荷状況に影響を受けた「食料品・飼料・飲料製造業」「飲食料品卸売業」などの食品取扱業者、客足の減少が響いた「旅館業」「娯楽業」など、多岐にわたった。
・発生年別に見ると、東京都でも45年ぶりの積雪量となった2014年が9件。
その後時間を経て経営状況に影響した企業もあり、2015年は3件、2016年は4件判明した。2008年および2012年は大雪による倒産は発生しなかった。
・地域別に見ると、「関東」が9件判明。「東北」は5件、「北海道」4件、「北陸」2件と、雪に慣れている地域よりも、雪に弱いとされている地域での発生が多かった。なお「中部」「近畿」「四国」「九州」では発生していない。