福井大学は発光ダイオードLED機器の日野電子株式会社などの協力を得て、植物工場の新しい手法を開発した。自然光と併用し、成長に必要な光を効率よくLED照明で補う仕組みで、電気使用量を抑えることが可能となる。一般的な植物工場だけでなく、飲食店の自家栽培用など小規模向けとしても実用化を目指す。
福井大学では明石行生教授が中心となり、2009年に研究を開始。福井県が関係する財団法人若狭湾エネルギー研究センター、種苗販売の福井シードも共同研究に参加している。
大学内にある実験施設では、作物を育てる培地に設置した光受容センサー、LED光源を調整する制御機器などで構成された装置が稼働しており、センサーで測定した光の量が少ない場合、不足している光波長のLED照明の光量を自動的に調整する仕組みとなっている。現在は赤、青、緑、白のLEDを使ってサニーレタスで実験し、成長具合と光の強さの関係を示す数式ができた。こうした数学的な手法はこれまでになく、明石教授らは12年末に特許出願した。
現在の光受容センサーは高価で、そのまま実用化するのは難しく、安価な測定装置を組み合わせたシステムの実用化を目指す。他の作物でも最適な光の量が分かるデータベースも構築する。高原野菜など特定の地域でのみ育つ農産物であっても、光と成長の関係が数値化できれば植物工場で対応できる可能性がある。
明石教授は「味がよくなる、体にいいといった付加価値をもたらす光照射の条件が分かれば可能性は大きく広がる」と話す。現在では全国で30カ所以上で稼働しているレストラン等の店舗併設型の植物工場は、今後も様々なビジネスシーンで利用されることが予想されている。ただ各電力会社が電気料金の引き上げに動いており、節電対策が課題である。新手法は必要な分だけ光を照射すればいいため、省エネルギーに寄与できる。(参考記事:2013年4月11日 日本経済新聞より)
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