世界最大の閉鎖型・アクアポニクス植物工場が稼働。野菜はUSDA有機認証を取得

 米国・ミネソタ州に拠点を置くアーバン・オーガニクス社では、都市エリアにて、完全人工光型植物工場による葉野菜の生産とアクアポニクスによる魚養殖を融合した設備プラントを稼働させているが、小売店舗だけでなく、レストランや病院といった業務用需要の拡大を受けて、新たな巨大施設を稼働させる。

世界最大の閉鎖型・アクアポニクス植物工場が稼働。野菜はUSDA有機認証を取得
同社では2014年に、利用されていなかった醸造施設を改修して閉鎖・人工光型のアクアポニクス植物工場を稼働させている。施設面積は約790m2であり、多段式の人工光を利用した葉野菜の生産とともに、1万3,000リットル以上の魚の養殖タンクが併設されている。

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植物工場野菜は、米国農務省USDAによる有機認証を取得

 現在、稼働させている施設でも、水耕用肥料は、魚の糞尿由来の窒素・リン酸などが再利用され、肥料の多くを有機由来にて生産していることから、米国の農務省(USDA)からオーガニック認証を取得している。新工場でも同様の栽培方式を採用する。

屋外でのアクアポニクスは一般的に普及しているが、閉鎖型の室内にて、完全人工光型植物工場とアクアポニクスによる生産事例は米国内での稼働事例が限られており、今後、都市部における食料生産システムでは期待されている技術の一つである。

オーガニック野菜、魚のタンパク質を、地元の都市部にて生産できる画期的な技術である、と同社も評価されている。

アクアポニクス植物工場の関連記事

・NYにおける閉鎖型アクアポニクス生産事例
 http://innoplex.org/archives/32777
・この分野における研究のパイオニア「シカゴ州立大学」
 http://innoplex.org/archives/6718
・植物工場ではないが、閉鎖型でのクロマグロ養殖の研究開発事例
 http://innoplex.org/archives/22432
・閉鎖型ではないが、UAEにおけるチョウザメ・キャビアの生産事例
 http://innoplex.org/archives/8763

新工場では水メジャーとの連携強化。8,000m2の閉鎖型・アクアポニクス植物工場が稼働

 新たに稼働する施設では、水メジャーのペンテェア社との連携を強化する。今回も巨大な醸造施設(空施設)を改修し、都市型の食糧生産やフードビジネスの拠点施設として再整備する。

施設面積は約8,000m2。巨大な14個の養殖タンク、5段の多段式・植物工場ラックが50台、導入される計画。施設は稼働直前であり、年内にはフル生産を目指し、魚は年間で約125トン、葉野菜は全体で215トンの出荷が可能である、という。

ケールや中国菜、ルッコラやホウレンソウ、スイスチャードなどの葉野菜を生産し、来年にはホッキョクイワナ(アークティック・チャー)等の珍しい魚が出荷される。

世界最大の閉鎖型・アクアポニクス植物工場が稼働。野菜はUSDA有機認証を取得

米国・大手水処理企業であるペンテェア社は、ミネソタ州を米国内での拠点オフィスとしており(設立は米国だが現在の本社は英国)、水処理や水リサイクル施設の導入を行っている。

また、水処理だけでなく、バルブ・制御機器の開発でも有名な企業であり、アーバン・オーガニクス社の閉鎖型・アクアポニクス植物工場では、ペンテェア社の製品や技術ノウハウが採用されている。

魚の出荷には時間がかかるため、先に葉野菜の出荷がスタートし、単品だけでなく複数種類をミックスしたものをメインに、9つの商品を販売する。販売先は当初、コープや小売チェーン店を対象とするが、病院やレストランなどの業務向けにも販路を拡大させていく。

同社は、ヘルスケアサービスを提供する大手企業のHealthPartnersとも連携しており、運営する病院食と施設内にあるカフェテリアでも、野菜が採用されている。

HealthPartnersでは、パートナー組織も含め、約1,200万人の患者に医療サービスを提供しており、新工場による量産化とともに、野菜の採用量を増やしていく、という。

同社のビジネスモデルは、空き施設を再利用し、オーガニック認証の取得・地産地消・雇用増による地元経済の活性化と、住民の健康増進にもつながる。

現在の稼働施設でも、養液は完全循環式によって水の大幅節約を実現しているが、水メジャーのペンテェア社の技術を活用しながら、将来的には大型工場や生活排水などの処理水を野菜や魚の養殖に活用することもできるだろう。