雪が降るシカゴの都会でもアクアポニクス(水耕・魚養殖)の実験施設が稼動(シカゴ州立大学)/多段式の野菜生産システムの実験的な採用も進む

冬は雪が降り積もる米国・シカゴでの年間・安定的な食料生産を目指して、シカゴ州立大学では倉庫を改装して、アクアポニクスの研究を行っている。同施設では、アクアポニクス(水耕野菜と魚養殖の一体型:詳細はこちら)を利用して、バジルやミントなどの野菜とお馴染みの淡水魚ティアラピアを栽培している
 

倉庫のような建物の一部を改修して、実験施設を建設した

 
アクアポニクスというと、簡易的なビニルハウス内に太陽がさんさんと降り注ぐ中で栽培されている事例が多いので、閉鎖型・人工光を利用したケースは非常に珍しいだろう。担当者によると、シカゴでは最初のアーバン・アクアポニクス施設である、とのこと。例えば、イリノイ州のAquaRanch社やウィスコンシンにあるSweetwater Organicsなどは全て地方の田舎で生産している。
 
 
同大学のバイオロジカル・サイエンス学部のテクニカルスタッフであるAlison Gise Johnson氏(関連サイト)が施設の管理者でもある。同氏によると、アクアポニクスは都市周辺住民に対して、新鮮な食料を安く提供でき、遠方から大量の食料を輸入せずに済むことから環境負荷を軽減できることが大きなメリットだという。例えば、農業で有名なイリノイ州では、毎年40億ドルもの農作物を輸出しており、イリノイ州の住民は年間で48億ドルも食料に使っているが、実はその96%は州外で生産されたものである。<Chicago Metropolitan Agency for Planning, Illinois Department of Agricultureによる>
 
 

 




 
都市近郊でも、肥沃で安全な土壌があれば露地栽培もできるのだが、シカゴには多くの工業エリアがあり土壌汚染が進んでいる地域もあることから、こうした水耕栽培やアクアポニクスも有効な生産方法の一つであるだろう。一般的なアクアポニクスでも、年間を通じて栽培ができ、路地栽培の2〜10倍ほどの生産性があるが、日本で言うところのレタス類を栽培している多段式・植物工場のような飛躍的な生産性は見込めない。さらに、同じ栽培ルーム内に魚の養殖と植物の栽培を行うと、個別の最適環境を実現することが難しくなる。
 
 
そこで、地下(魚養殖)と地上(水耕・野菜)といった異なる部屋で栽培する形式、または、仕切り・壁を作って別々の生育ルームを設けるアイデアを考えていたが、どうやら米国でもGrowing PowerPlant Chicagoといった組織が実験的に行っているようだアクアポニクスの原型は古代アステカ時代にまでさかのぼり、屋外の池に、魚や野菜を栽培していた、といった記録がある。現在はティラピアといった淡水魚が主だが、今後は高級魚(タイやヒラメなど)の飼育技術と野菜の栽培環境との関連性・最適値といった研究も進んでいくだろう。当法人でも、採算性について本格的な調査を実施していきたい、と考えている。
 
 

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植物工場・農業ビジネス編集部

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