NYの芸術学校、アクアポニクスを応用した植物浄化システムを教育向けに開発

 NYのティッシュ・スクール・オブ・アートのInteractive Telecommunications Program(ITP)では、アクアポニクスの実証実験やJohn Todd氏が開発したエコシステム装置などを参考になしがら、ファイトレメディエーション(植物浄化)装置を開発した。

開発したシステムは教育向けの簡易的なもので、約19リットルが入るウォーターボトル容器を加工して、4つの部屋に分け、生態系の一部を再現した。

NYの芸術学校、アクアポニクスを応用した植物浄化システムを教育向けに開発
以下に4つの部屋について簡単に紹介する。

(1)最下部:アクアカルチャー(魚の栽培)
魚の排泄物や水中の高アンモニアは、植物にとっては肥料となる。よって、最上部の部屋であるファイトレメディエーション(植物浄化)ルームにポンプで送り、そこからは小型の滝のように、水が下へ落ちていく仕組みを採用。

(2)最上部:ファイトレメディエーション(植物浄化)
植物が空気中の化学物質や水中の汚染物質を取り除いてくれる。アンモニア由来の窒素は植物の養分として利用され、成長速度も早く、効率よく酸素を作り出してくれる。今回、採用した植物は以下のようなもの。その多くが観葉植物である。
ボストンシダ、ゴールデンポトス、セイヨウキヅタ、スパティフィラムなど

(3)アクアティックレメディエーション(水生植物・有用細菌による浄化)
水生植物を入れることで、不要なものを捕食する細菌が定着可能となる。こうした有用細菌は、藻や有害な微粒子を除去してくれる。以下のような植物を利用している。
バナナ(観葉植物用)、淡水植物、ウキクサなど

(4)バイオフィルター
嫌気性細菌などが、水中に含まれる過剰なアンモニア、窒素、リンなどを除去してくれる。

 その他のベンチャー企業や研究機関でも、水耕栽培やアクアポニクスが、周囲の環境を改善する効果やヒトに与える心理的な作用など、様々なアプローチから研究が進められている。

例えば、今回のように滝のような形式を採用することで、水が流れる音がヒトに対して与える心理的効果を研究している所もあるようだ。分野横断的に研究が進むことで、農業という枠組みから脱却し、既存とは異なる新たなビジネスが生まれるかもしれない。