横浜の建設業者である奈良建設は、植物栽培装置開発・製造のキーストーンテクノロジーと連携して、植物工場システムの栽培事業に参入するために、20日に新会社を設立した。装置の販売だけでなく、自社で野菜の栽培・販売にも乗り出す。落ち込んだ建設受注を補う事業の柱の一つに仕上げる方針で、横浜発の新業態としてPRする。
奈良建設としては土地開発などの際に「植物工場付きマンション」などとして提案し、建設受注にも結びつける一方で、キーストーンは異業種と組むことで販路拡大を目指す。
設立した新会社は「アグリ王」で本社は奈良建設内に置いた。資本金は1千万円。奈良建設は全額出資の子会社で営業・販売代理会社の「セットアップ横浜」を介して過半を出資。社長には奈良建設の杉本隆取締役が就いた。初年度売り上げ1億円を目指す。
販売する主力商品は、1基当たりレタスなら月4800個を生産できるセル型植物装置(基本モデル200万円)。年内にも奈良建設本社ビル1階に数基設置し、試食や商談ができるショールームを新設。来年度中をめどに本社ビルの空きフロアに100基規模で導入し、野菜を出荷することも検討している。
植物工場は年間を通じて天候や立地に左右されずに清潔な野菜を生産できるとあって、近年注目を集めている。キーストーンは、LED(発光ダイオード)を使ったシステムを独自開発し商品化にこぎ着けた。建設業者は、公共・民間とも工事量が激減し厳しい経営環境に置かれている。
奈良建設の仲里一郎プロジェクトアドバイザーは「生産機能の移転・集約などで、建物だけ残っている工場が少なくない。有効活用の一案として提案していきたい」としている。
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