電気機械器具製造業「前田電子」の関連会社である「食能研」がそばもやしの生産加工を皮切りに、農業分野で新たな取り組みを始めている。前田電子は部品組み立てやシステム開発を主力に実績を上げているが、製造業は近年、生産拠点を労働力の安い海外にシフトしており、地方の受注量は減少傾向。農業への進出は、仕事量の減少をカバーしようと検討された。
最初に実験したのがそばもやしの栽培。県産業技術センターの助言も得て温度管理などを工夫し、現在は平川市碇ケ関を拠点に、通年栽培できるシステムを確立した。栄養価が高く、無農薬・無肥料の安全・安心な作物として、ヘルシー志向の消費者にアピールする。
また、通常は廃棄される規格外野菜の活用にも着手。農家からまとめて買い取り、業務用に安価で提供するほか、9月からは製造業や縫製工場などに持ち込み、昼休みに無人販売する試みも行っている。現在は35事業所を週1回のペースで回り、コンスタントに売れているという。同社は数年前にも、海外が競争相手にならず地元での継続的な需要が見込めるとして、工業用塗装を事業の柱の一つに加えている。
今回は農業という新たな分野での挑戦となるが、前田会長は「もともと農業には関心があった。製造業もいろいろと工夫しないとやっていけない時代」と意欲的。将来的には学校給食に地元野菜を提供したり、規格外野菜を原形が気にならないカット野菜にして少人数家庭などに販売する構想など、さまざまな仕掛けを検討している。
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