JAXAと天地人、観測衛星「しきさい」のデータを活用した水田管理プログラムの開発協業へ

株式会社天地人、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」のもと「宇宙ビッグデータ米の栽培における「しきさい」由来の水田環境プロダクトの開発」に向けた協業を開始した。

JAXAと天地人、観測衛星「しきさい」のデータを活用した水田管理プログラムの開発協業へ
「しきさい」由来の水田環境プロダクトとは
稲の生育には多くの水が必要です。水田に入れる水の量は気温や水温、稲の生育状況によって日々適切に調節・管理する必要があります。そのため、稲作では朝夕の水田環境の見回りが欠かせません。

それが農家の負担になっていることに加え、時間が限られる人の目による見回りでは、時々刻々変動する水田環境の変化に対して逐一情報を得ることが難しいことが水量の適切な管理の課題となっています。

JAXAが運用している気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)は、地球の環境変動をグローバルに長期間観測することを目的としており、19種類の波長の光を捉える光学センサによって、大気中の微粒子や植物の活性度、地表面温度といった地球物理量をモニタリングしています。

本取組みは、「しきさい」が取得するデータに対する新たな解析アルゴリズムを共同で開発することで、水田の水管理に必要な情報の取得を目指します。

人工衛星からの客観的なデータを用いて稲の栽培環境のモニタリングすることで、農家の負担軽減と、タイムリーな水量管理を目指します。


役割分担
天地人は、これまで地球観測衛星のデータを活用した独自の土地評価エンジン「天地人コンパス」を開発し、衛星データからビニールハウス内の作物に対する日射量を推定するプロジェクトや、キウイフルーツなどの作物の新規圃場の検討など、農業に関わるプロジェクトを行ってきました。

天地人は、JAXAの知的財産や知見を利用して事業を行うJAXAベンチャーとして認定されております。本件はJAXAベンチャーとJ-SPARCプログラムによる初の共創活動事例となります。

両者による共創活動を通じて、日本の食文化の中心である水稲農業と、これからの発展が期待される宇宙産業を強固につなぐことで、両者の発展に貢献していきます。


「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」
J-SPARCとは、宇宙ビジネスを目指す民間事業者等とJAXAとの対話から始まり、事業化に向けた双方のコミットメントを得て、共同で事業コンセプト検討や出口志向の技術開発・実証等を行い、新しい事業を創出するプログラムです。2018年5月から始動し、これまでに30を超えるプロジェクト・活動を進めています。

事業コンセプト共創では、マーケットリサーチ、事業のコンセプトの検討などの活動を、事業共同実証では、事業化手前の共同フィージビリティスタディ、共同技術開発・実証などの活動を行います。


宇宙ビッグデータ米
天地人が株式会社神明及び株式会社笑農和と協力して取り組む「気候変動に対応したブランド米をつくる」ことを目的に栽培を行っているものです。