リネットジャパン、アグリテックベンチャーと提携。カンボジア農村への金融サービス提供へ

リネットジャパングループ株式会社のカンボジア子会社であるChamroeun Microfinance Plc.(チャムロン社)は、カンボジアやインドで小規模農家向け、ワンストップサービスを展開するアグリテックベンチャーであるAgribuddy Ltd.(アグリバディ社)と、カンボジア農村における金融包摂の推進に向けた農業金融サービスの提供に関する業務提携の締結を合意した。

リネットジャパン、アグリテックベンチャーと提携。カンボジア農村への金融サービス提供へ
■カンボジアにおける農業セクターの現状
カンボジアは農業が基幹産業の一つであり、同国のGDPの約3分の1を占めています。全労働人口の約半数は農業に従事していますが、一方で貧困層の9割は農村部に集中するなど、農家の所得は低い水準で留まっています。

農家の生計に関わる重要な課題の一つとして、特に種や肥料などの農業資材に関わるファイナンスの問題が挙げられています。

農家の多くは作付け時に資金を持ち合わせておらず、農業資材を中間業者からクレジットで購入しています。これら中間業者は金利相当として法外な価格を上乗せして農業資材を販売しており、金利換算すると年利50%以上にのぼる例もあります。

また、農家が適切な知識を持っていないため、サプライヤーから悪質な資材を売りつけられる事例なども見られます。このように、バリューチェーンの中で、力が弱く知識を持たない農家が搾取され、低い所得を強いられる状況が存在しています。


■両社のカンボジアにおけるビジネス背景
当社は、国際協力機構(JICA)のSDGsビジネス協力準備調査をきっかけに、2013年よりカンボジアの農家の生産性向上・収入向上に向けた取り組みを実施してきました。

この取り組みの一環として、当社は2018年にチャムロン社を買収し、農村地域を中心に、中央銀行の規定に準拠した金利水準で透明性の高いマイクロファイナンス事業を展開しています。


アグリバディ社はカンボジアにおいて、農地の耕作から各種農業資材の購入、栽培、収穫さらに作物の販売まで小規模農家向けの様々な支援サービスをワンパッケージで販売するアグリテックベンチャーです。

自社開発のアプリで農家の作付け状況などの情報を集め、データに基づいて適切な農業資材やファイナンス支援を行い、農家の収穫や生計の向上を推進しています。


なお、アグリバディ社は2016年に日経FinTech主催の、「Nikkei FinTech Conference 2016」のコンテストにおいて最優秀賞を受賞、2018年には孫 泰蔵氏が代表を務めるMistletoe社やカンボジアサッカー代表チームのGMを務める本田 圭佑氏らから、総額280万米ドルの資金調達を行うなど大きく注目を集めています。


■業務提携の内容と今後の展開
今回、カンボジアにおいて両社が目指す「農村地域の金融包摂」と「農家の生計向上」がさらに推進できると考え、本業務提携締結の合意にいたりました。

本業務提携では、アグリバディ社が保有する農家の農業資材の需要や資金需要データに基づき、チャムロン社が特別な融資商品を開発します。悪条件での農業資材の調達を強いられている農家を中心に与信を提供することで、更なるカンボジア農村地域の金融包摂を目指します。


チャムロン社はアグリバディ社が保有するカンボジア農家のデータへのアクセスすることで、より精度の高い与信の提供が可能になることが見込めます。

このことにより、中間業者の不当な価格吊り上げが排除され、農家の所得向上につながることが期待されます。また、アグリバディ社が選定した適切な農業資材に農家がアクセスできることで、生産性の向上も見込まれます。

今後、チャムロン社はアグリバディ社と連携しながら、農家の金融リテラシー向上の支援や、農業バリューチェーンの強化などの支援も実施していきます。