森林研究・整備機構森林総合研究所は、国内外の大学と共同で、過去10万年間にわたる日本の草地の歴史を植物の遺伝子解析により推測した。
日本では最近100年間で草地が90%以上消失した結果、多くの草地性生物が絶滅の危機に直面するとともに、全国的な遺伝子解析の結果、日本人になじみの深い草地性植物4種は過去10万年間にわたって国内で個体数を安定的に維持してきたことが示された、という。
センブリ、カワラナデシコ、オミナエシ、ワレモコウは数十年前まで、日本のどこでも身近に見られた草地性植物でした。
本研究グループは全国各地に残された草地を訪問してこれらの種の葉を収集し、次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析を行いました。
その結果、これらの種は過去10万年間にわたって、個体数を数百年前の0.5から2.0倍の範囲で維持してきたことが明らかになりました。本結果は、最近100年間に起きた草地と草地性生物の国内での激減は、千年から万年を単位とする地質学的な時間スケールで見て大きな出来事であることを示しています。
本研究成果は、人類が環境の改変や維持に果たしてきた役割、特に林業や農業が草地を維持してきた役割の歴史的な重要性を示しています。本研究成果は、2019年5月29日に、国際学術誌「Biology Letters」のオンライン版に掲載されました。
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