英国ロンドンから車で2時間くらいの所にある「ムーンズ・モート」にある工業団地内に、アストウッド・グループが新設した完全人工光型植物工場がある。生産している品目は葉野菜・ハーブなどであるが、競合他社の植物工場と異なる点は、ビール工場も併設している点である。
同社は、植物工場の運営会社として「Vertivore Farm」を立ち上げ、併設するビール工場は「Lab Culture Brewery」と名付けられている。
近年では、英国でも有名ホテルや金融会社が、植物工場(太陽光利用型も含む)による生産をスタートさせており、同社でも、農薬を使用しない新鮮な地産地消の野菜を周年生産できる点に大きなビジネスチャンスを感じている、という。
また、ライフスタイル全体にて環境意識の高い消費者が多い英国市場では、同社が植物工場が出る排熱を利用して、ビール酵母を発酵・製造できる点が、ブランディングを確立する上でも有利に働くと主張する。
今回の植物工場は、あくまで試験的なサイズであり、野菜の生産・販売が安定すれば、すぐに規模拡大を計画している。同社は、野菜の生産・販売だけというより、食フードビジネス全体を手掛ける企業に近い。
生鮮野菜としての販売だけでなく、今後は野菜や地元農産品を活用した加工品の販売、そして、ビールような嗜好品を製造・販売していくことで、高収益のビジネスモデルを確立させていく、という。
ビール工場の「ラボカルチャー」では、地元の小規模なクラフトビールを製造できるシステムとなっている。併設する植物工場から出る排熱を利用して、ホップとフルーツの香りを高めた飲みやすいペール・エール系のビールなどを製造・販売している。
既にビールも販売しており、アルコール分4.2%のペール・エールのビール商品にて、24缶で約4,500円で販売されており、1本(330ml)あたり約200円となっている。
なお、ビール製造も、植物工場と同様に自動化システムを導入することで、レシピさえ確立すれば、誰でも同じ品質のビールを周年生産できるようになっている。
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