ネイチャーダイン株式会社(ND社)は、独自の電気も機械も使わない自動農業生産システムSoBiC(ソビック)を利用して、ソーラー発電システムと、それから得た電力で空気中から水を抽出するシステムを連結させる事で、「電源」も「水源」も「農地」が無くても、その場で水を造り、農作物を高効率で生産できるシステムパッケージを開発した。
これがあれば、水が無い砂漠地帯でも、または汚染が酷い環境でも、電気も社会インフラなど整っていない地域でも、太陽の光さえあれば、極めて高い効率性で安全な水と食糧を安定的に生産できる「究極のフードセキュリティのソリューション」になります。
ソーラー発電システムとそれから得た電力で空気中から水を抽出するシステムは、株式会社ハイパワー及び同社のグループ会社(以下HPグループとする)が有するソーラー発電システムと水生成装置elixir(エリクサー)と連動させた融合ソリューションとなります。
<テストプラント写真>千葉県のHPグループが保有する太陽光発電+水生成(elixir-100)のテストプラントで、SoBiC-PRO及びSoBiC果樹園システム数台を設置し、栽培実証試験を今年4月後半から開始している
空気中の水分から水を取り出すシステムは昨今の世界的な水不足を緩和する技術として注目されている技術で、現在では非常に高効率で水を生成できるようになっています。
例えば、elixirの小型モデルelixir-100は、家庭用の小型冷蔵庫程度の大きさで、1日100L(消費電力1.3kWh)の水を生成します。
降雨量が非常に少ない砂漠地帯では、海水淡水化装置が多く利用されているが、海水から淡水を抽出するには大規模なプラント設備が必要で非常にコストがかかる上、作り出した淡水の何倍もの高濃度の塩水と化学物質を排出するなど様々な課題がありましたが、それに代わる高効率なシステムとして近年飛躍的に進化してきています。
<栽培状況写真>elixirで生成された水が、SoBiCシステムに自動供給され、自動栽培が行われている様子
しかし、それら水生成機の抽出効率がどんなに高まっても、農業用水として利用するには無理がありました。
農業生産には莫大な水の量が必要で、人間が利用する淡水の70%は農業用水です。例えば、露地栽培でトマト一個を作るのに約50リットルの水が必要と言われています。
つまり数百グラムの食糧(農作物)を造る為には数十リットル(数十キロ)もの水を必要とします。
近年ではハイテクを駆使した水耕栽培や植物工場など人工的な循環型の施設栽培も進化しており、露地栽培よりも遥かに水は節約できるようになってきていますが、水の節約以上に設備コストや運用コストがかかる事がほとんどで、根本的な水不足や食糧不足のソリューションとするには大きな課題がありました。
それに対し、SoBiC栽培システムは、電気も機械も使わず、太陽の日射熱を動力源にした非常にシンプルなフリーエネルギー駆動の自律型自活駆動システム(特許取得済み)です。
これにより、植物の生態活性に準じた完全な水の循環構造になり、水の無駄がまったくなく、手間をかけなくても非常に良く育てられる仕組みで、設備コストも運用コストもかからず、人工栽培システムとしては異次元の生産性を確立しています。
ND社のSoBiCでの栽培実績の中では、中玉トマト一個を育てるのに2リットルもかからない実例もあり、露地栽培での定説と単純比較すると実に95%以上の水を節約できる事になります。
HPグループは既に同社の小規模なテストプラントで、SoBiCシステムを設置して実証試験を開始しており、ND社と協調して、更に効率的なパッケージソリューションの開発を進め、世界に販売展開して行く予定です。
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