東京大学理学系研究科の矢守航 准教授らは、太陽光利用型植物工場におけるトマト栽培において、夜間のLED補光と曇天日の積極的なLED補光によって、トマトの生産性と品質向上に成功した。
太陽光利用型植物工場では、株の植栽密度が高いため下位葉に太陽光が届きにくくなります。光は光合成や植物成長に必須なため、限られたスペースで、作物を高密度に植栽しつつ、より効率良く収量を確保できる新たな栽培方法の確立が望まれています。
本栽培法を活用することによって、不安定な天候でも、一年を通して計画的で安定的な経営を実現でき、露地栽培での収穫時期と差別化をはかることによって、売上増加につなげることが可能となります。
本研究成果は、新産業である植物工場の推進や発展に繋がることが期待されます。今後の研究においても、最小の資源とエネルギーの投入で、最大の収量を得るシステムを確立するとともに、環境負荷を最小限に抑える技術開発を進めていきたいと考えています。
本研究成果は、2018年11月01日に、以下の国際誌に公開されました。
<掲載論文1>曇天日のLED補光によって、トマトの生産性低下を大幅改善!!
Tewolde FT, Shiina K, Maruo T, Takagaki M, Kozai T, Yamori W*. Supplemental LED inter-lighting compensates for a shortage of light for plant growth and yield under the lack of sunshine. PLOS ONE, 13, e0206592.
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0206592
<掲載論文2>夜間のLED補光によって、トマトの生産性と品質向上に成功!!
Tewolde FT, Lu N, Shiina K, Maruo T, Takagaki M, Kozai T, Yamori W*. Nighttime Supplemental LED Inter-lighting Improves Growth and Yield of Single-truss Tomatoes by Enhancing Photosynthesis in Both Winter and Summer. Frontiers in Plant Science 7, 448.
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpls.2016.00448/full
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