搬送関連機器メーカーで植物工場プラントの開発を行っている伊東電機は、大阪府立大学と連携し、植物工場を効率的に新設・増設できる「セル式モジュール型植物工場設備」を開発した。
新システムは縦2.4m、幅1m、高さ42cmのカプセルを、1つの栽培空間(セル)とし、工場でセルを作り、設置する面積に応じて、セルを組み合わせることで植物工場プラントを稼働させる。光源は薄型のLEDを採用している。
配管・配線といった簡易な作業のみで工場にできるため、導入コストの低減にもつながる、という。1つのセルでリーフレタスなら80株を栽培できる。
セルごとに環境をコントロールすることで、空調コストを削減するほか、生育条件を変えることで、大規模量産型だけでなく、小規模・多品種生産にも対応することができる点が特徴の一つ。
日産5,000株の植物工場を千葉幕張の地下スペースに稼働
千葉県の幕張新都心の地下スペース「共同溝」にて植物工場を導入する公募事業にも同社のセル式モジュール型植物工場が採用された。同社が代表となり、ICT分野では富士通と連携したグループ事業として導入する。
事業計画では、地下スペースの植物工場にて、葉野菜などを生産し、自動運搬にて地上の施設内へ運び、収穫・梱包などを行う。植物工場内の生育環境は、富士通のシステムを導入する。
28年度中に1日160株を生産する実証施設を稼働させ、29年度から栽培検証を開始する。徐々に施設規模を拡大させ、東京五輪・パラリンピックの32年度に本格生産を行う。販売先は、周辺のスーパーやホテルなどを想定している。
地下スペースの面積は、検証段階にて約120平方メートル、量産時で約3,600平方メートルとなる。地下スペース・共同溝は現在の県企業庁から企業土地管理局が運営することになる。同機関に支払われる使用料は、検証段階では約50万円(年間・見込)、量産時は約390万円(年間・見込)となっている。
※ 2017年12月、植物工場の幕張ファーム「vechica ベチカ」を開設している。