環境面だけでなく収益性にも優れた有機農業の世界的な拡大

 有機農業は化成肥料や農薬を使用せず、自然生態系のバランスを重視し、環境へのダメージを最小限に抑える農法として注目されている。ワシントン州立大学の研究結果によると、有機農業は慣行農業に比べ環境面のメリットだけでなく価格プレミアムにより、より多くの収益性を生み出していることが示唆された。

環境面だけでなく収益性にも優れた有機農業の世界的な拡大

有機作物を慣行作物の利益と釣り合わせるには5~7%の価格プレミアムが妥当といわれているが、現在の有機作物市場では約29%~32%ものプレミアムが付けられている。世界の食料生産に占める有機作物の割合は約1%と少なく、価格プレミアムも割増しで付けられているが、今後生産量が増えるに従い価格も落ち着き、これまで以上に大衆向けにも生産される余地があるとされている。

 有機農業が慣行農業と同等の収量を産み出すためには、より多くの土地を有するため、世界の急速な食料需要増加に対応する農業として一気に広まることは現実的でないだろう。しかし、環境面と経済面のメリットの両方から持続的な農業として今後発展していくことが予想される。
※ 参考: Financial competitiveness of organic agriculture on a global scale (英語)