デンソーは、植物工場や農業用ハウス内の温度、湿度、CO2濃度を最適状態に自動制御し、光合成を促進することで、農作物の安定生産と収穫量の増加に貢献する「農業生産支援システム」を開発し、今年10月からモニター販売を開始する。
今回開発した農業生産支援システムは、風向き、風速、日照、降水の有無、およびハウス内の温度、湿度、CO2濃度を計測する「各種センサー」と、ハウスの天窓・カーテンの開閉、空調装置の制御、ミスト・CO2の発生を行う各種機器に制御信号を出す「コントローラー」で構成されています。
年間を通じ、ハウス内外の状況に応じて植物の生育環境が最適となるようコントローラーが自動的に制御します。さらに、将来はハウス内の冷房、暖房も含めた、熱マネジメントの観点から燃料の効率的使用を実現するシステムの開発に取り組み、日本の農業の競争力強化に貢献していきます。
現在、国内のハウス栽培においては、ハウス内の植物の生育環境を制御するために、主として海外から輸入したシステムを使用しています。
しかし、それは海外の比較的大規模なハウスを想定したシステムであるため、日本特有の小規模な農地面積にも適したシステムの実用化が求められています。 また近年、重油価格の高騰などから、農業における燃料の効率的使用も大きな課題となっています。
これらの課題を解決するため、デンソーはこれまで工場向け制御システムの開発において培った技術を活用し、日本の小面積の農地や高温多湿な気候において、ハウス内の植物の生育環境を最適に制御できるシステムを開発しました。
デンソーは、2012年1月から愛知県豊橋市にあるトヨハシ種苗株式会社と共同で農業生産支援システムの試作機を実証ハウスに導入し、トマトの栽培における効果を検証してきました。
また、今年5月に自前の実証ハウスを豊橋市に竣工し、システムの実証実験を行っています。今後、これらの実証実験で得られたデータをシステムの実用化に活用していきます。
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