富士通、自社の半導体工場を活用。低カリウム野菜の大型植物工場を稼働

 富士通では2013年7月、同社の福島県会津若松市にある半導体工場を植物工場に転換すると発表した。

既存のクリーンルームを転用することで初期投資を抑え、付加価値の高い農作物を生み出すため、10月からカリウム含有量が少ない低カリウムレタスの生産を開始する。

主な運営は、富士通グループの富士通ホーム&オフィスサービス株式会社が担当。「FUJITSU Intelligent Society Solution 食・農クラウド Akisai(アキサイ)」を活用した大規模植物工場となる。

本植物工場は、2,000 m2の実装面積を持ち、低カリウム野菜を栽培する植物工場としては国内最大級のものとなります。

本実証事業は、富士通ホーム&オフィスサービス株式会社が代表となり提案した「先進的な低カリウム化技術による大規模スマート植物工場ビジネスの実証」が、復興庁と経済産業省の「平成25年度 先端農業産業化システム実証事業」として採択されたことを受け、富士通グループ、会津富士加工株式会社、公立大学法人福島県立医科大学などで構成するコンソーシアムが、協調・連携して実施するものです。

本実証事業を通じて、人工透析患者、慢性腎臓病患者の方々も生で食べられるカリウム含有率の低いリーフレタスを栽培し、一人でも多くの方が食の喜びを享受できる社会の実現を目指すとともに、地域産業の振興に貢献します。

植物工場による実証内容

低カリウム化の栽培技術
人工透析患者、慢性腎臓病患者など、医師からカリウムの摂取制限を受けている方々は、野菜を生で食べることができない生活を送っており、カリウム含有率の低い野菜の栽培へ大きな期待が寄せられています。

こうした状況の改善に向けて、富士通ホーム&オフィスサービス株式会社は、会津富士加工株式会社や秋田県立大学が持つ低カリウム野菜の栽培技術や知見を活かし、カリウム含有率の低いリーフレタスを2013年10月から試作し、2014年1月から量産出荷します。


半導体の製造技術の活用
富士通セミコンダクター株式会社が半導体製造工場のクリーンルームで培った、最適製造条件の割り出しや雑菌管理のノウハウを活かし、空気や液体肥料に含まれる成分などをきめ細かくコントロールすることで、低カリウム野菜の栽培に最適な育成環境を実現します。


プラントエンジニアリング
株式会社富士通ファシリティーズ・エンジニアリングが持つ、半導体製造工場へのインフラ供給や省エネルギー管理のノウハウを活かし、低カリウム野菜の栽培に最適なインフラ環境の整備、供給ならびに省エネルギー化を実現します。


食・農クラウドによるデータ解析型の栽培技術
ICTで農業経営を飛躍的に効率化させる、富士通株式会社の食・農クラウド「Akisai」を活用し、栽培データを継続的に解析し、生産性の高い栽培を実現していくとともに、経営・生産・販売といった経営全般を管理することで、効率的な植物工場経営を実現します。

需要に応じて必要なときに必要なだけお届けする技術
生鮮宅配や医薬品・高齢者向け用品などの配送販路を活用することで、低カリウム野菜を必要とされる方々に必要なときに必要なだけお届けするとともに、安心して購入していただくためのトレーサビリティを確立します。